職員にアンケート調査をしたところ、肯定的な答えとしては「時間外勤務の大幅な削減につながった」「子どもがインフルエンザにかかった時に休暇ではなくテレワークで対応できた」「昼休みに一人静かに休憩できた」などが上がった。否定的な意見としては、「丸一日自宅でできるほど仕事量がなかった」「集中できるが故に勤務後の疲労度が高い」「庁舎で勤務している職員への連絡が不便」などがあった。

 今後もテレワークを続けていく考えで、「機運」「制度」「環境」「人」のサイクルを回し、精度を高めていく。具体的には、「機運」では、「業務をどうすれば変えられるのか」という意識、「場所にとらわれない」という思考、「できることから始める」という全体理解を重視。「制度」では、現状ルール・業務成果の評価のバージョンアップ、ICT活用によるマネジメントや進捗の可視化を挙げている。

 「環境」では、必要な環境の構築・維持、適切なツールの選定、サポート体制の構築、セキュリティ対策、データの電子化を進めていく。「人」では、業務の主体を「場所」から「人」へ移行、セキュリティやワークライフバランスに対する意識を変えていくなどだ。中田氏は「今回のテレワークは自宅限定だったが、場所が確保しにくい職員もいたため、今後はサテライトオフィスなども検討するべきだろう」と述べた。

中田 直樹氏
中田 直樹氏
東京都町田市 総務部 情報システム担当部長

 コロナ下では、新たにビジネスチャットと動画配信の活用も始めた。テレワークにともない勤務場所が分散したことで、電話やメールにはない即時性や操作性を持つ新しいコミュニケーションツールの必要性を感じ、ビジネスチャットは職員全員のアカウントを取得した。メリットは、テレワークストレスの緩和、ほぼリアルタイムでのやり取りの実現など。デメリットとしては、スレッドが長くなると特定の書き込みが探しづらい、メンバーが多くなると誰とやり取りしているのか分からなくなるなどの声が寄せられた。

 また動画配信では、会議や研修での3密を避けるために、研修風景や市長の講話を録画して配信サイトにアップし、オンデマンド配信を行った。

オンライン面接に遠隔地から応募も

 コロナの感染拡大を受け、町田市は20年度の職員採用の選考を、最終面接以外はオンラインで行った。適性検査である最初のSPI試験の段階では、前年の2倍となる約2000人の応募があり、結果的に採用の間口が広がった。その後オンラインの個別面接には418人が参加。オンライン会議システム「Webex」を用いて、1人15分で1日35人、計12日かけて面接を実施した。リアルの最終面接には177人が進んだ。「遠いところだと札幌市や福岡市からの応募があった。結果として、面接のための移動が減り感染リスクの削減につながったと思う。就活生は世代的にオンラインに慣れており、大きな問題もなく面接が行えた」(中田氏)。

 最後に中田氏は、テレワークを継続するためには「ツールを使って現在のオフィス環境を再現しようとするのではなく、未来目線でのモデリングが必要」と締めくくった。質疑応答では、千葉県市原市総務部情報政策課の安藤善文副主査が、テレワークでの生産性について質問した。中田氏は「文書管理や財務会計などシステム化されているものは、ほぼ生産性を維持できた。テレワークは事前準備が大切」と答えた。