電子契約などでの法人の認証に高い関心

 「デジタル認証サービスの導入」では、奈良市の中村氏が議論をリードした。20年度から政府は行政手続きでの押印廃止を推進している。個人に関してはマイナンバーカードのICチップに内蔵された電子証明書が押印の代わりとして、相手を認証して契約をする場合に役に立ちそうだ。「ただ、法人の場合はどうするか。目まぐるしく制度が変わっていくので、現段階では様子を見ているが、アイデアを出して進めていかなければならない」(中村氏)と、問題を提起した。

中村 眞氏
中村 眞氏
奈良市 CIO(最高情報統括責任者)、政令市・中核市・特別区CIOフォーラム コンテンツ委員会 代表幹事

 藤沢市は「無料で実証する機会があるので、制度などを検証しながら使えそうなら導入する予定」(大高氏)。横浜市は「電子契約や電子請求を検討している。電子請求は電子署名が不要だろうが、電子契約は署名が必要なので、ヒアリングを続けている。PDFへの電子署名も検討している」(福田氏)。法人については、「法人登記の証明書は、取得するのに数万円もかかる。特に建設関係の法人は高額になる。今は新型コロナ対策の補助金申請などの関係で、経済産業省が運用し一つのID/パスワードで複数の行政サービスにアクセスできる法人・個人事業主向け認証サービス、GビズIDを取得している事業者が多いと聞いている。これを法人確認にも使えるのではないかと考えている。法人登記の無料化も検討している」(福田氏)。

 市原市は「20年に実証実験を実施し、API連携を含めて内部のシステム担当の連携について、デジタル推進室で組織を挙げて推進している」(総務部デジタル推進室の安藤善文副主査)。大分市は「解決しなければならない課題が見えていない状況なので、報道される情報を収集している段階」(林氏)。西宮市は「認証についてはGビズIDを使えばいいと思うが、方針を決める段階には至っていない」(南氏)。

 閉会にあたって、コンテンツ委員会の代表幹事を務める奈良市の中村氏は、「自治体DXの推進については、計画の時期や支援策など詳細の内容が聞けてよかった。まず総務省の講演では、マイナポータルからの電子申請の受け取りについて、オンラインでの情報交換の提案が出ていた。サービスデザインで実現する行政DXについては、利用者の視点や現状の課題の整理など、広範囲な背景の話が聞けた。ベースとなる制度の再設計が重要となってくるが、そのためには制度面や手続きの変更に取り組むことが必要だ」と総括した。

 また、戸田市の新型コロナワクチンの接種記録システムについては、「積極的にVRSを導入してやっていることに感銘を受けた。早期にVRSを積極的に活用できた理由としては、早期に医師会と連携して利便性についての訴求できたためとの説明があった」。藤沢市のDX推進については、「全庁横断的にデジタル推進室を設置して、デジタル市役所を目指して進めている。一般職員の人材育成については、素養のある人材を見つけることが大切と理解した」。

 ディスカッションについては、「自治体の基幹システムの標準化についてまだまだ情報が少ない。各自治体がDXに肝煎りで取り組んでいることを改めて認識した。DXの要素である電子契約は、証紙の廃止にともない民間事業者がコスト削減メリットを得られることもあって今後利用が大きく広がる可能性があるので備えが必要という提案も聞けた」と締めくくった。