新しい政府共通プラットフォームはAWSがベースに

 現行の政府共通プラットフォームはプライベート・クラウドであり、第一期政府共通プラットフォームと呼ばれます。2020年10月には、第二期政府共通プラットフォームへの移行が予定されています(図3)。移行の理由は、第一期では当初目的としていた運用コストの削減を実現できているとは判断できない状況があるためです。

図3●第二期政府共通プラットフォームの整備スケジュール
図3●第二期政府共通プラットフォームの整備スケジュール
出所:総務省「政府共通プラットフォーム第二期整備計画について」(2019年2月25日)(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/kettei/20190225kettei3-1.pdf)
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 第二期政府共通プラットフォームでは、第一期の課題を整理したうえで、現行の年間運用等経費(2017年度を基準とする)の5割を超える大幅な削減を目指しています。これまで生じていた無駄の排除に加えて、プラットフォームのサービス内容のスリム化/シンプル化が見込まれます。

 第二期政府共通プラットフォームの整備を担当する総務省が2020年1月に公表した調達仕様書案には、米アマゾン・ウェブ・サービスの「Amazon Web Services(AWS)」の標準サービスを前提に開発を進めていることが明記してあります。政府共通プラットフォームは第一期のプライベート・クラウドから、第二期ではパブリック・クラウドへ移行することになります。

 AWSを選定した観点として総務省は、(1)作り込みを最小限とした運用費用の低減、(2)迅速な整備、柔軟なリソースの増減、(3)自動化などによる運用の効率化、(4)政府統一基準などに沿った必要なセキュリティ対策、(5)クラウド特有のリスク回避---を挙げています。クラウド特有のリスクを回避するために、「ユーザー所有データの所在地は国内とすること」「準拠法・裁判管轄を国内に指定すること」「クラウドサービスは国内から提供されること」を求めるとともに、「データ送受信の常時監視」「アクセスログの取得」「脆弱性対策を実施すること」もセキュリティ上の要件としています。

 クラウド・バイ・デフォルト原則では、クラウドサービスの選定にあたり、コストやクラウドサービスに求められる条件を総合的に評価して選定することとしています。今後はクラウドサービスの安全性評価制度の運用が始まり、パブリック・クラウドの利用が進むことから、第二期政府共通プラットフォームでのクラウドサービスの選定理由・基準をより詳しく明示していく必要があるでしょう。

クラウド・バイ・デフォルト原則の自治体への影響

 政府機関と同様に、自治体でもクラウドの導入が推進されています。これまで自治体では、業務プロセスの共通化・標準化や、基幹系システムの複数団体での共同利用を可能とする自治体クラウドの導入が推進されてきました。

 「経済財政運営と改革の基本方針2018」(2018年6月15日閣議決定)では、国・地方の行政効率化、IT化と業務改革として、各自治体に対してクラウド導入などの計画の策定を求めたうえで、国が進捗管理を行うとしました。また、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2018年6月15日閣議決定)では、自治体におけるシステム等の共同利用の推進目標として、2023年度末までにクラウド導入団体を約1600団体、そのうち自治体クラウド導入団体は1100団体とすることを明記しました。

 これらの目標を達成するためにも、クラウド・バイ・デフォルト原則の下で、国と自治体の連携を強化するとしています。具体的な取り組みとしては、全自治体へのクラウド導入に向けた助言、政府CIOなどによる自治体の首長へのクラウド導入検討の要請、クラウド導入に向けたロードマップの策定の要請などがあります。今後は、自治体がクラウドの導入に向けたロードマップを策定し、計画的にクラウド化に着手することで、クラウド活用の業務範囲を拡大していくことになります。

 クラウド・バイ・デフォルト原則の推進により、各府省、自治体でのクラウド活用が広がり、結果としてシステム費用の削減、業務負担の軽減、セキュリティ対策のレベル向上などが期待されます。