デジタル社会形成基本法とは、デジタル社会の形成に関して、基本理念や施策策定の基本方針、国・自治体・事業者の責務、デジタル庁の設置、重点計画の作成について定めた法律です。施行日は2021年9月1日で、同時に施行されるデジタル庁設置法に基づいてデジタル庁が発足する日でもあります。

コロナ禍でデジタル化における問題が浮き彫りに

 20年1月に国内で感染拡大が始まった新型コロナウイルスへの対応では、国や自治体、さらには社会全体におけるデジタル化の遅れや人材不足、不十分なシステム連携に伴う非効率さ、煩雑な手続きや給付の遅れといった課題が次々と明らかになりました。例えば、特別定額給付金の支給の遅れや雇用調整助成金申請のオンライン化の失敗、感染者の把握・集計の遅れ、書面規制・押印・対面規制によるテレワークの阻害などです。

 政府のデジタル・ガバメント閣僚会議の下に設けられた「デジタル改革関連法案ワーキンググループ」の作業部会が20年11月20日に公表したとりまとめでは、具体的に以下のような問題・課題を指摘しています。

  • 国の情報システムについて、一元的なプロジェクト管理を実施しているが、横串を通した整備・運用が徹底できていない。そのため、技術の進展により、国や自治体相互のシステム連携基盤を構築する意義が高まっているものの、そのための体制が整備されていない。
  • マイナンバーや法人番号、電子署名などのデジタル基盤に関して、その制度や手続きの所掌がバラバラである。そのため、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)」を所管する内閣官房IT総合戦略室が、手続きのオンライン化や事業者によるデジタル基盤利活用促進などの働きかけ、制度の企画に関与することが困難であった。
  • 準公共部門や民間分野においては、各府省による所管業界のデジタル化を推進する取り組みは限定的である。そのため、総務省・経済産業省によるモデル事業や支援ツールの開発等といった各府省への側面支援も、例えば各府省の制度に組み込まれて普及を後押しするには至っていない。
  • 今後はデータベースの分散管理とアクセスコントロールを前提に、共通基盤上に各種アプリを構築するといった、新たなシステム化手法に転換していくなど、社会全体のデジタル化の進め方を抜本的に改める必要がある。

 これらの問題や課題を解決するため、デジタル改革関連法案ワーキンググループが20年11月26日に公表したとりまとめでは、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」というデジタル社会が目指すビジョンとともに、デジタル社会を形成するための大方針として、10の基本原則が示されました(図1図2)。法律の条文だけだと内容が理解しにくいため、ビジョンや基本原則を示すことで、法律が目指すデジタル社会のイメージをつかみやすくしています。

図1●デジタル社会が目指すビジョン
出所:デジタル改革関連法案ワーキンググループ「デジタル改革関連法案ワーキンググループとりまとめ」(2020年11月26日)(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/houan_wg/dai4/siryou4.pdf)
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図2●デジタル社会を形成するための10の基本原則
出所:デジタル改革関連法案ワーキンググループ「デジタル改革関連法案ワーキンググループとりまとめ」(2020年11月26日)(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/houan_wg/dai4/siryou4.pdf)
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