官公庁や自治体でも利用が拡大へ

 従来のシステム開発はスクラッチ開発やパッケージ導入による開発が主体でしたが、近年はコストの削減、システム導入の迅速化、ITリソース増減の柔軟化に対応するためにクラウドファーストやクラウドネイティブの考え方が広がっています。

 一方で政府機関では、事実認識の不足、情報セキュリティや移行リスクへの不安から、クラウドサービスの導入に二の足を踏むケースが少なくありませんでした。そうした状況を変えようと、政府は「クラウド・バイ・デフォルト原則」を2018年6月に提唱しました。

 クラウドサービスと同様に、ノーコード/ローコード開発も、システム開発の内製化や開発期間の短縮、コスト削減などの導入効果があります。このため、官公庁・自治体でも今後、両者そろった導入が進む見通しです。主なノーコード/ローコード開発ツールとしては、のような製品があります。

表●ノーコード/ローコード開発ツールの主な製品
表●ノーコード/ローコード開発ツールの主な製品
出所:NTTデータ経営研究所が作成
[画像のクリックで拡大表示]

 官公庁におけるノーコード/ローコード開発の具体的な取り組みとして、2つの事例を紹介します。最初の事例は、会計検査院の「総合検索システム」です(図3)。政府機関や独立行政法人などの会計検査の結果に関する情報を登録・検索するためのシステムであり、南米ウルグアイのIT企業であるジェネクサスのローコード開発ツール「GeneXus(ジェネクサス)」を用いて開発されました。GeneXusで開発工程の簡略化や自動化を図るとともに、アジャイル開発の手法を採用したことで、開発期間は約5カ月(2018年11月にシステム再構築プロジェクト開始、2019年3月にシステムリリース)で済みました。

図3●会計検査院が構築した「総合検索システム」の画面
図3●会計検査院が構築した「総合検索システム」の画面
出所:会計検査院
[画像のクリックで拡大表示]

 二つめの事例は、自治体である大阪府の「新型コロナウイルス対応状況管理システム」です。保健所が患者の健康状態を一元管理したり、府・市の担当職員が感染者数を集計・管理したりするために、サイボウズのノーコード/ローコード開発プラットフォーム「kintone(キントーン)」を用いて開発されました(図4)。

図4●大阪府が構築した新型コロナウイルス対応状況管理システムの仕組み
図4●大阪府が構築した新型コロナウイルス対応状況管理システムの仕組み
出所:サイボウズの報道発表資料(https://topics.cybozu.co.jp/news/2020/04/22-8794.html)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社のサポートの下で職員2人がわずか2週間で開発し、2020年4月に新システムの運用を開始しました。kintoneで開発したシステムはテンプレート化して再利用・再配布ができるため、開発効率が上がるとともに、他自治体がすぐ利用できるようシステムのテンプレートも公開しました。同システムによる業務処理は、2020年11~12月に、国が構築した「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」および「新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)」に移行しました。