講演 自団体だけでなく市町村の指導も期待する 
下仲 宏卓氏
総務省 大臣官房企画課 個人番号企画室長

 2017年7月から、マイナンバーシステムの情報連携が開始される。この9月からは自治体間の総合運用テストが始まり、17年4月まで続く。第一弾は約20団体で実施する機関間テストで、「クール0」と呼んでいる。

 11月開始の全自治体が参加する機関間テスト(自治体同士)までに、必要な既存業務システムを改修する。クール0開始までに、団体内統合宛名システムと中間サーバープラットフォームの利用に向けた庁内ネットワークを整備。11月のクール1開始までに既存業務システムの改修を完了する。

 全自治体が参加する総合運用テストは、(1)自治体で相互接続を行い、主要な事務手続きで正しく情報の照会・提供が行えることを確認する、(2)総務省と自治体との間で、障害発生時を想定した連絡が円滑に行えることを確認する――の2点。不具合があれば速やかに改修することが重要であり、様子見しないで前倒しでテストに参加してほしい。

 マイナンバー制度の怖さを今一度、再認識してほしい。何といっても関係するプレーヤーの種類が多い。情報提供ネットワークシステムを設計・開発した内閣官房、運用する総務省個人番号企画室。都道府県・市町村では、住民課関係だけでなく、福祉や税金の関係部署、教育委員会が絡む。中間サーバープラットフォームはJ-LIS、マイナポータルは内閣府が担当し、ネットワークは政府共通ネットワーク、LGWAN(総合行政ネットワーク)、住民基本台帳ネットワークシステムの回線を使う。全体で約6000の団体・機関が相互に連携することになる。

 しかも、マイナンバー制度はまだほんの一部しかスタートしていない。これまではマイナンバーを付番しマイナンバーカードを発行しただけ。J-LISと市町村の住民課以外は、本番を迎えていない。大変なのはこれからだ。

 マイナンバーの相互連携では、個々の機関の整備遅れが全体に波及する。特に、情報提供側に遅れが発生すると、情報を受ける多種多様な接続団体すべてに影響を及ぼしかねない。実際、15年10月の付番や通知カードの発送でも、データ作成がうまくいかなかった市町村が多数あった。この時は市町村とJ-LISとの閉じた関係であり、時間的余裕もあったので、目立たないよう対処できた。しかし、今後はトラブルが起これば全国に広まってしまう。

 都道府県には、自団体の進捗管理だけでなく、市町村の取りまとめをしっかり実施してほしい。情報政策部門の幹部に期待するのは、常に現場の担当者を叱咤激励し、トラブルが発生したら先頭に立って対処することだ。また、セキュリティの確保を最重要課題としてほしい。他団体の個人情報も絡むだけに、漏えいさせたり滅失させたりしたら、制度自体の存続に関わる。大変な仕事だが、先頭に立って制度を成功に導いてほしい。(談)