スケジュール再検討の要望も

 スケジュールの順守について宮城県の水戸氏は、「今のところ順調。ただ、市町村調査の回答がばらついており、今後問題が顕在化してくる懸念はある。庁内各部門には、毎月進捗を報告させている。ネットワーク面では、マイナンバー利用事務系を新たに構築するので、セキュリティ強靭化やインターネット分離に伴う作業が影響することはない」とした。一部テストを先行実施した山形県は、「つながることは確認できたが、今後も市町村や国と総合運用テストを進める。データ標準レイアウト▼注3)の変更への対応とインターネット分離も進める」(企画振興部の三條義浩情報企画課長)とした。

▼注3) データ標準レイアウト
マイナンバーに対応付けられる特定個人情報ごとに、情報提供者、データ定義(項目名、データ型、データ長、項目説明など)、照会事務手続きの対応を整理した表。

 富山県の半田氏は、総合運用テストに関する状況を明かした。「県にはテスト環境が整備されたシステムがほとんどない。しかも、データ標準レイアウトの改変を国から提示されたので、ベンダーにはテスト環境を整えるのに10月まで待ってほしいと言われている」。標準レイアウトの変更については、「説明に訪れた内閣官房と総務省の担当者に、政府CIOはどう言っているのか、スケジュール変更も考えた方がいいのではないかと訴えたが、反応はない。自治体の状況を考えて、再検討してほしい」と付け加えた。

トラブルを集めたデータベースを

 市町村の支援に関しては、奈良県の二見強史CIO補佐官(都道府県CIOフォーラム会長)が現状を説明した。「市町村を担当するベンダーから、クール1で対応できるのは住基、税、児童扶養手当など一部で、残りは年明けと言われた。そこで、ファイルレイアウトをExcelで手づくりし、中間サーバー接続端末でテストしてほしいと市町村に依頼した。テストの組み合わせは、県が主導して6チームに分けた」という。

 大阪府総務部の蓮池忍IT推進課長は、「6月と8月に個人番号企画室から講師を招くなど、市町村向けに半日勉強会を開催した。今後はLGWAN▼注4)の掲示板を使って情報交換をしていく」と説明した。事前のアンケートでクール1に総合運用テストを完了予定と回答した三重県の佐脇優子情報システム課長は、「クール1で終わらせるのが目標。ただし、庁内の中間サーバー連携テストが完了しておらず、市町との日程調整はこれから」とした。

 秋田県の寺尾氏は、「いつでも参照できる、全国で起こったトラブルのデータベースを作ってほしい」と要望。総務省の下仲氏は「運用テストでの課題の情報共有は重要であり、取り組みを考えているので決まったらお知らせする」と答えた。

▼注4) LGWAN
総合行政ネットワーク。行政事務のための自治体間の専用ネットワーク。地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が運用する。