政府が推進する「働き方改革」は自治体には大きな課題となる。マイナンバーを守るセキュリティ強化のための「ネットワーク強じん化」では、庁内ネットワークをインターネットと分離することなどが求められ、ワークスタイル変革や庁内事務の利便性への影響が避けられないのだ。都道府県CIOフォーラム第14回春季会合2日目午前のディスカッション2では、まずワークスタイル変革で先行する2自治体から報告があった。

庁内メールをやめチャットに

桑原 義幸氏
広島県 総務局 情報戦略総括監

 最初に、広島県総務局の桑原義幸情報戦略総括監が、これまでの取り組みを説明した。「2010年にICT積極活用をうたった行政経営刷新計画が策定され、翌年『クール&スマート広島県庁』というビジョンを掲げてワークスタイル変革に乗り出した」(桑原氏)。

 現在のビジョンは、Web会議システムとリモートアクセス、在宅勤務の導入と、モバイル端末によるペーパーレス化とダイバーシティ(多様性のある働き方)の実現だ。

 導入はスムーズだったわけではない。2013年に「どこでもワーク」として在宅勤務を導入したが、初年度の利用はゼロ。「申し込み期限を2週前から前日午前中に、対象を育児・介護限定から全職員に広げるなど、3回の見直しを経て、2016年には計121人が延べ597日利用するまでに普及した」(桑原氏)。

 管理職約140人には「iPad Pro」を配布し、出先でも業務遂行できる環境づくりも進めている。サテライトオフィスは本庁舎、東京事務所、研修センターの3カ所に設置。フリーアドレスは商工労働局の5課60人に導入済みで、今後拡大していく計画である。

 2017年3月には、モバイルワーク基盤としてグループウエアも刷新。音声・文字チャット、庁内SNS、プレゼンス機能を持つコラボレーションツールの試行を始める。「職員間のやり取りはメールをやめチャットに切り替える」(桑原氏)。

 ネットワーク強じん化に当たっては、「行政サービスの質は落とさない」「セキュリティをワークスタイル変革を実施しない言い訳にしない」などの基本方針を策定。「従来進めてきた端末仮想化を拡充する形で取り組んでいる」(桑原氏)。