講演 官民データはSociety 5.0の基盤となる
浦上 哲朗氏
内閣官房 IT総合戦略室 企画官

 官民データ活用計画の策定で都道府県が悩んでいると聞いている。私も最初、なぜ推進するのか理解できなかった。現部署に異動し「Society 5.0注10)」の形成時に重要な基盤になるのが官民データだとの説明を受け、はじめて納得した。例えば無人のドローンが荷物を届けられるのは、デジタル化された位置情報を利用するからだ。

 国の「官民データ活用推進基本計画」には、電子行政、健康・医療・介護、観光、金融、農林水産、ものづくり、インフラ・防災・減災、移動の8重点分野があり、そこに10の基本的施策に沿った259施策が策定してある。都道府県は、国の計画に即した計画策定が義務付けられる。「即して」は「勘案」より強い要求だ。

 都道府県計画に盛り込む必要があるのは、国の基本的施策のうち、行政手続き等のオンライン化原則、オープンデータの促進、マイナンバーカードの普及・活用、デジタルデバイド対策、情報システム改革・業務見直しの5つ。これに8つの重点分野を掛け合わせたマトリックスが施策項目だ。地域課題を解決するために、どれに優先的に取り組むか、誰がいつまでに何をするかを決めるのが計画の肝になる。

 IT室で準備中の「デジタルファースト法案」により、オンライン化が原則となる。100%のオンライン化は困難だろうが、原則が変わるのは大きい。義務付けられる国が主体となって推進し、自治体が主体となる手続きについては努力義務が課される予定だ。

 計画推進では財源や人材が悩みの種だろう。補助金の要望がIT室にも届いているようだ。ただ政府CIOは、投資によるコスト削減や業務改革を通じて財源や人材を捻出できなければならないという哲学だ。持続可能性の面からも、補助金を強く否定している。

 人材面では、所管部署の協力なくして計画策定も取り組みもできないのも悩ましい。仲間を増やす必要がある。ICTや官民データによる課題打開を考えている同志はきっといる。(談)

注10)Society 5.0
狩猟社会、農耕社会、工業社会、現在の情報社会に続く、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた社会。政府が成長戦略で実現を目指している。