テレワークの利用拡大に向け業務改革

 次に、神戸市企画調整局情報化戦略部の森浩三課長(イノベーション担当)が、「神戸市の働き方改革とテレワーク推進の現状と課題」と題して報告を行った。

森 浩三氏
神戸市 企画調整局 情報化戦略部 課長(イノベーション担当)(撮影:皆木 優子)

 神戸市は、1995年の阪神淡路大震災で大きな被害を受けた。その後行財政改革を進めて、20年間で職員総数の約33%を削減した。だが、「行政需要が拡大する一方で、人口減少に伴う税収減、人材不足、子育てや親の介護による職員の離職などが進み、業務の生産性向上や働きやすい環境づくりの実現が求められるようになった」(森氏)と、働き方改革に着手した経緯を説明した。

 2015年にはIT機器を活用した在宅勤務制度を導入。制度を利用しやすい職場風土づくりのため、課長級以上の職員に対して積極的な利用を呼びかけた。「2016年度は管理職の利用はなかったが、2017年度は50人に増え、全体の利用者数も23人から135人に伸びた。2018年度は9月時点で119人が利用している」(森氏)と、年々利用が拡大している現状を報告した。

 在宅勤務制度における課題として、在宅に向く業務の仕分けが難しい点を挙げた。例えば、在宅勤務制度を利用する可能性の高い育児休業後に復帰した職員の場合、8割が区役所や出先事務所の窓口業務を担当する部署に配属される。しかし実際には、窓口業務は在宅勤務には向かない。「在宅勤務制度が職員のニーズにマッチしているか、働き方改革の唯一の答えなのか、検討の必要がある」(森氏)。

 テレワークの拡大に向けて、神戸市が大きな課題としているのは、業務プロセスの見直しだ。森氏は「従来の業務工程にテレワークを当てはめるのではなく、現場の職員とコミュニケーションを図りながら、仕事のやり方をテレワークに適した方法に変えていくことが必要」と指摘する。前提として、庁内全体がテレワークの必要性を理解することが求められるという。

 質疑応答では、東京都港区総務部の川口弘行情報政策監が、「情報セキュリティ対策を全庁的に同レベルで運用するために、何らかの基準やルールを策定しているか。また、それらをセキュリティポリシーに組み込んでいるか」と質問した。森氏は「ルールは設定している。ただしまだ、セキュリティポリシーに組み込めていない。そこが課題だと認識している」と述べた。

 続いて、モバイルワークやテレワークによる生産性の向上や機動力確保に取り組んでいる東京都品川区企画部情報推進課の澤龍係長が、「職員が周囲から見えないところで働き過ぎてしまう問題がある。どう解決しているか」と尋ねた。森氏は「在宅勤務を認める以上、超過勤務は認めないことを徹底すること。在宅勤務には事前申請が必要で、そこで残業の申請があっても認めていない。なお、一般的な業務の中では、超過勤務を禁止はしていない」と説明した。