ITの先進的な取り組みをしている自治体の情報化統括責任者などが参加する「政令市・中核市CIOフォーラム」が、2018年11月5日に第2回目の会合を開催した。

 午後の特別講演には、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の遠藤紘一IT総合戦略官(前・内閣情報通信政策監=政府CIO)が登壇。「改革に臨む心構え~政府CIOの職務経験から自治体に伝えたいこと」と題し、初代政府CIOとしての取り組みや、その経験から得た教訓などについて講演した。

遠藤 紘一氏
内閣官房 IT総合戦略室 IT総合戦略官(前・政府CIO)(撮影:皆木 優子)
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 政府CIOは、各府省でバラバラだったITシステムやガバナンスを統合管理し、電子行政の改善と国民の利便性向上を実現するため、2013年5月に新設された。初代CIOに就任した遠藤氏はIT戦略を成功へ導くため、「業務やシステムの現状把握を徹底した」と強調する。

システム数と経費を大幅削減

 具体的な取り組みとしては、政府情報システム改革によるコスト削減を実現。CIO設置前の政府全体のシステム数は1450、年間の運用経費は約4000億円だったが、システムの統廃合によって、「5年でシステム数は634(2018年度末見込み)まで削減し、運用経費は2021年度に約2900億円まで削減できる見通しが立った」(遠藤氏)と成果を披露した。全府省共通の人事給与システムへの移行は、2003年の設計開始からなかなか進んでいなかったが、政府CIO設置から3年で移行を完了したという。

 さらに遠藤氏は、農地情報公開システムの一元化とオープンデータ化の取り組みを紹介。零細経営農家の集約や、新規参入農家の確保などを目的に、農地情報のオンライン検索を可能にするシステムだが、「当初は各自治体単位で開発する予定だったが、用語の定義が統一されていない、全国横断検索ができないといった課題があった。そこで、政府主導で一元的な開発を実施した」と説明。開発コストは40%削減できたという。

写真●遠藤氏は政府CIOの経験・知見を基に改革の心構えを説いた
(撮影:皆木 優子)
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 政府CIOとして、積極的に自治体にも訪問した。「6都道府県24市町村(離任後含む)を訪れ、自治体クラウドで効果を出している成功事例を提示し、ノウハウを提供するなど支援を行った」(遠藤氏)。こうした取り組みの成果も上がっている。2014年4月時点で自治体クラウドの導入自治体は550団体だったが、2018年4月には1067団体と倍増している。

 最後に遠藤氏は、改革に臨む心構えを4点挙げた。最初から100点を目指さず早くPDCAを回すことが重要という意味の「60点主義」。やらないための言い訳がほとんどなので言い訳は無意味という「言い訳に利益なし」。うまくいっている自治体があればそれをまねればいいという「他所(よそ)の人が解いた問題で悩むな」。分かったつもりにならずに事実をしっかり見つめるべきという「事実の前に人は素直になる」。「この4つを念頭に置くことで、改革の進みがよくなるはず」と呼びかけた。