分析者確保やデータ入手が課題

 データを政策・施策の企画・立案に生かすEBPM※1に関して北海道の村上氏は、「事前アンケートの結果では、本格的に取り組んでいる団体はまだ少ない。道では2018年4月から行政改革課、法制文書課、情報政策課でワーキンググループを作って検討を進める。また総務省統計局が無料でデータサイエンティストのオンライン講座を提供しており、職員に紹介していく」と説明した。

※1 EBPM
Evidence Based Policy Making。証拠に基づく政策立案

 京都府の原田氏は「働き方改革の担当課と共同でEBPM研修を実施している。損保ジャパン日本興亜とデータサイエンティスト養成の包括協定を結んで講師を派遣してもらい、職員7人が研修中」と報告。奈良県は「知事が職員に必要な知識としてEBPMを挙げ、統計専門家などを招いて研修している」(二見氏)。

 富山県経営管理部の半田嘉正情報企画監は、医療情報の活用に関する悩みを打ち明けた。「2年前にレセプト※2に基づいて地域医療計画の策定を支援するシステムを導入。データ提供を依頼したが、国民健康保険を除いて、健康保険組合などからは断られた」。個人を識別できる被保険者番号などを削除する費用を県が負担すると持ちかけてもダメだったという。結局、市町村単位での糖尿病の罹患率、重症化進展地域程度しか分析できていない。

※2 レセプト
診療報酬明細書。患者の氏名・性別・生年月日のほか、医療機関名や診療科、病名、調剤・処置・手術・検査などの点数が記載してある
半田 嘉正氏
富山県 経営管理部 情報企画監
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 「担当課からは、もっとデータがないと予防につながる分析は無理と言われた。相談先も分からず困っている」(半田氏)。これに対し「国が2017年8月にEBPM推進委員会を設置した。今後状況は変わるのではないか」(北海道の村上氏)と助言があった。

大学・企業・市町村とも連携へ

 データ活用推進の工夫について栃木県経営管理部の山本正美情報システム課長は、「政策に生かすための気づきが得られるよう、ビッグデータを研究している宇都宮大学と連携し、職員のワークショップを開催している。現状では、県が保有する情報の棚卸しが大きな課題」と説明した。

山本 正美氏
栃木県 経営管理部 情報システム課長
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 島根県は、調達時にオープンデータへの対応を仕様に含める。山口悟CIO補佐官は「知事にオープンデータ・バイ・デザインでシステム構築をと言われている。ただ、そうした発想を持つベンダーはまだない。将来、日常的に利用するだけで内部でオープンデータ化が進むシステムを指向している」という。

山口 悟氏
島根県 地域振興部 情報政策課 CIO補佐官
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 福岡県は、福岡市・北九州市とともにオープンデータカタログサイトを共同で運営している。同県企画・地域振興部の古保里学情報政策課長によると、「2017年6月に同一サイト内で3団体のデータを公表し、横串で検索できる仕組みにした。他団体にもデータ提供を促すため、オープンデータ提供に関する説明会や意見交換会を開催している」。徳島県のオープンデータポータルサイトは、「先進自治体である福井県鯖江市に追いつき追い越せで始めた。県はもちろん、市町村からも自由にアップデートできる」(山住氏)。

古保里 学氏
福岡県 企画・地域振興部 情報政策課長
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 広島県の桑原氏は、データ活用の課題を3つ指摘した。「プライバシー保護、データクオリティ、ベンダーロックインの懸念だ。特にベンダーやプラットフォーム提供者が寡占状態になったら、データ活用は進まないのではないか」と警告した。