報告 制度改定が少ない戸籍業務はAI支援に向く

 大阪市は、AIを活用した戸籍窓口業務の支援システムを富士通と開発している。田畑龍生CIO/ICT戦略室長は、「ロボットや音声認識を使わないAIベースのシステムであり、一昨日(2018年2月5日)にプロトタイプができたばかり」と切り出した。

田畑 龍生氏
大阪市 CIO/ICT戦略室長
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 同市は吉村洋文市長の方針の下、2016年4月に海外の自治体を参考に市長直轄のICT戦略室と専任CIOを設置。従来の職員業務の効率化から、市民サービスの充実・効率化へとかじを切った。例えば「スマートフォンで当たり前に買い物をする時代に、大半の行政サービスは役所に来ないと受けられない」(田畑氏)ことが課題という。企業に対しても、各部局が個別に出している情報をAPIなどで一元化して提供できないかなど、検討を重ねている。

 知識検索型AIによる戸籍窓口業務の支援システムでは、「問い合わせに対し、職員は専門用語が分からなくても曖昧な類似語や文章で、法令条文や先例、研修資料などから適切な回答を検索して、フィードバックも蓄積できるようになる」(田畑氏)。

 AI活用のテスト第1弾に戸籍業務を選んだ理由も説明した。市が運営するコールセンターでは問い合わせ全体の10%を戸籍関連が占め最多、業務に精通したベテラン職員が大量に退職する、24区が個別にノウハウを蓄積し共有できていない、外国籍の住民同士の婚姻・離婚など要件が多様化し管轄法務局への問い合わせが増えている、などだ。「戸籍は電子化データが大量にあるうえ、制度改定が少ないので一からAIに覚え直させるような事態が発生しにくい」(田畑氏)こともAI活用に向くという。

 まず戸籍の全36届け出のうち出生・婚姻・離婚を中心に約3万件の学習データを整備した。3月に東淀川区と浪速区でモデル運用を始め、2019年4月以降に全区への展開を目指す。「データの設計・作成・効果検証はノウハウがないと大変。業務委託契約にしてよかった」と振り返った。