特別講演 日本に必要なのはスピードと多様性

 都道府県に推進計画の策定が義務付けられた官民データ活用では、オープンデータを推進する必要がある。企業にビジネスで活用してもらい産業を活性化させる、住民に対し行政の透明度を高めるという2つの目的を達成しなければならない。

小尾 敏夫氏
早稲田大学 教授 電子政府・自治体研究所長、 国際CIO学会 世界会長
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 日本は「防災」「公共交通」「観光」などの分野が強い。特に災害対策・防災は世界的な水準にあり、国連の世界防災会議での評価は非常に高い。一方、日本の問題はスピードが足りないことと、施策に多様性がないことだ。遅れている分野では、進捗著しい米英の最先端のオープンデータ施策を取り込むのが賢明だろう。

 ICT活用によるデジタルトランスフォーメーションも、官民が協力しないと進まない。実はGDP(国内総生産)に占める政府支出の割合は10%を超えていて、かなりの影響力がある。その観点で、日本に“シリコンバレー”ができるかどうか研究している。世界では中国の深セン経済特区が注目されている。日本には、けいはんな、つくば、横須賀リサーチパークなどがあるが、少なくとも規模の面でもっと努力が必要な状況だ。

 AIに関しては、以前に英ケンブリッジ大学が人間の職業を奪っていくという予測を発表した。AIが人間の能力を抜くと言われる2040年頃に、代替されるリスクのある職業を列挙した。その中には行政事務員もあった。もっとも、今ある職業の半分くらいはなくなると予想している。AIに勝てる職業として挙げられていたのは、学校の教員や俳優など、高度な感性や知識が必要とされる職業である。

 この発表に対して、AIは人間をサポートするものであって、AIで雇用を作るべきだと大声で反論している。これから世界の人口は100億人に増えると言われているのに、コストダウンや雇用削減ばかりのAIは人類を不幸にする。このような事態に陥らないためにも、綿密な戦略が必要だろう。(談)