定年退職を迎える前後の人々が、生きがいを持ちつつ、ゆったりと、安心して暮らせる街――。米国をはじめ、海外で取り組みが進んでいるCCRC(Continuing Cared Retirement Community)は、国内では「生涯活躍のまち」と呼ばれ、地方創生の一手段として、自治体などから注目を集め始めている。

生涯活躍のまちは、例えば新潟県南魚沼市、茨城県笠間市、愛知県・春日井市など、既にいくつかの自治体がコンセプトを作るなど取り組みを始めている。一方で、スマートコミュニティ稲毛、ゆいまーる那須ほか、民間企業主導でCCRCを事業として展開しているものもある。

アクティブシニアを主対象とした小規模な「街」

一見するとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や特別養護老人ホーム(特養)と何が違うのだろうと思うかもしれない。CCRCの入居対象者は、定年前後の活動的な人々、いわゆるアクティブシニア。要介護認定を受けた高齢者などは、あまり想定していない。

例えばスマートコミュニティ稲毛の場合、想定する入居者層は、定年退職の前後の年代で、低廉とはいえ分譲マンションを購入できる程度の経済力を持つ人々。高齢者が「生活不活発病」を避け、充実した生活を送れる「アクティブシニアタウン」を目指しているという。仮に要介護になっても、介護度を進めず、むしろ改善を目指せる環境を作ろうとしている。他のCCRCも、この考え方はほぼ共通している。南魚沼市など、要介護者向けには外部の介護施設を利用するというケースもある。

施設の面では、CCRCは数百戸程度の居住施設を含め、広域にわたる点が福祉施設とは異なる。すべてアクティブシニア向けとして設計されると考えると分かりやすい。例えばスポーツ施設、大学などの教育施設、農園など、活動するための環境が整っている。山、川など周辺地域の自然環境や娯楽施設を、そのまま活動の範囲と位置づけているCCRCもある。

こうした環境もあって、CCRC内はもちろん、周辺地域住民との交流、ボランティア活動なども積極的に行う。スマートコミュニティ稲毛などでは、事業者側が設けたコミュニティ活動だけでなく、居住者が自ら立ち上げたコミュニティが多数ある。