そして、ここに来て存在感を高めているのがIntelだ。Intelが自動運転開発に名乗りを上げたのは2016年7月。BMW、Mobileyeと共同で自動運転開発に参加することを表明した。2017年1月には、自動運転車の開発促進を目的とする新たな製品ブランド「Intel GO」を発表。Intelは、「自動運転車は一日当たり4テラバイトものデータを処理する“動くデータセンター”のようなIoT(モノのインターネット)機器である」と見ており、この実現に向けてCloud-to-Car技術やコンピューティングパワーを提供する考えだ。

Intelは技術企業への投資も活発だ(図3)。2016年8月にディープラーニング(深層学習)に最適化したソフトウエアとハードウエアを開発する米Nervana Systemsを、2016年9月にはディープラーニングやコンピュータービジョン向けのSoC(System on a Chip)を開発する米Movidiusを買収。2016年10月には投資子会社であるIntel Capitalがイメージセンサーの新興企業であるフランスChronocamに出資し、2017年1月にはHEREの株式の15%を取得した。

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図3 Intelのポジションチャート

世界を驚かせたのは2017年3月のMobileye買収だ。153億ドルという金額だけでなく、両企業の提携企業が自動運転プロジェクトの推進という観点においてうまく相互補完されていることが目を引く(図4)。自社の強みと他社の強みを見極め、惜しみない投資をエンジンに、モビリティとIoTという巨大市場に船出した格好だ。

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図4 Intel+Mobileyeのポジションチャート

自動運転に取り組む企業のポジションチャートを見ていると、これまで自動車産業とは距離のあった事業領域の企業との協業・提携が進んでいることがわかる。Intel、NVIDIAのほかにも、米IBM、米Microsoft、米Qualcommなどの名前を頻繁に見かけるようになった。

自動運転が作る未来は、自動車産業とモビリティ産業だけでなく、IT/クラウド企業はもちろん、インターネットに関連するすべての企業に新たな事業機会と新たな競合/協業企業、あるいはフレネミー(友人と敵を組み合わせた造語)を用意することになりそうだ。

この記事は日経BPクリーンテック研究所の研究員が執筆し、日本経済新聞電子版のテクノロジー分野「自動運転」に掲載したものの転載です(本稿の初出:2017年5月17日)。