自動運転技術の開発競争は、コネクテッドカー(つながる車)開発とオンデマンド配車ビジネスを巻き込んで、新しいモビリティービジネスの構築を目指すステージに進みつつある。特に目立つのは、オンデマンド配車サービスでの活用を前提とする完全自動運転車「ロボタクシー」の実用化と「モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS)」時代に向けた先端技術の開発である。

 ロボタクシーを活用したサービスの実用化については、自動運転開発で豊富な実績を持つ米ウェイモと、オンデマンド配車大手の米リフトが先行する。両社に共通するのは他社との協業を力にサービス提供体制を整備していることだ。日経BP総研クリーンテックラボが2018年6月に発行した「世界自動運転・コネクテッドカー開発総覧(増補改訂版)」の調査データに最新事情を交えて、最新の自動運転技術の開発状況を報告する。

ウェイモ、市民に貸し出し実験

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ウェイモが米アリゾナ州で実施している一般市民を対象とする実験サービス「Early Rider Program」の様子。クライスラーパシフィカハイブリッドベースの完全自動運転車で乗客を運んでいるが、運転席にドライバーの姿はない(出所:ウェイモ)

ウェイモの前身である米グーグルが自動運転開発に乗り出したのは09年。それ以降、ウェイモは自社開発した自動運転車で公道走行テストを続けている。18年4月時点で公道テストを実施しているエリアは米国の6州、25都市。公道テスト用の試験車両は約600台あり、これらのクルマで1日当たり約1万マイルを走行している。18年7月には、総走行距離が800万マイルを突破した。

公道テストを進める中でウェイモは、17年4月から自動運転車を一般市民に貸し出す活動「Early Rider Program」を実施している。米アリゾナ州の住民に対して呼び掛けたもので、自動運転車を移動の際に使ってもらい、それぞれの状況における使用感や要望などを収集する。市民をモニターとするロボタクシーサービスの試験運用といえるだろう。17年11月からはテストドライバーを車内に置かない形態での運用を開始するなどして、本格的なロボタクシーサービスの提供も視野におく。

車両開発や保守体制で提携

ウェイモは試験運用しているロボタクシーサービスを18年後半から拡大する計画を持っており、いくつもの企業提携を重ねて体制整備を進めている。

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ウェイモのポジションチャート(提携関係図)。ウェイモは、ロボタクシーの開発で自動車メーカーと提携するほか、サービス体制の強化に向けて保守や保険に強い企業と提携するほか、需要開拓に向けた事業提携も進めている。インテルは自動運転ソフトが求める高性能なコンピューティング能力の提供で協力する

サービスに用いるロボタクシーについては、自動運転車の共同開発で提携関係にある欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と英ジャガー・ランドローバー(JLR)からベース車両を調達する。FCAとは「クライスラーパシフィカハイブリッド」をベース車両とするロボタクシーを6万2000台、JLRとは「I-PACE(アイペース)」をベース車両とするロボタクシーを2万台、それぞれ共同開発する。

サービス運用の整備では、カーシェアリング事業者の米エイビスレンタカーを傘下に抱える米エイビス・バジェット・グループの協力を得て自動運転車の保守体制を整えているほか、長期的な保守体制を確立するために自動車小売業大手の米オートネーションと提携している。さらに、ユーザーがロボタクシーサービスを安心して利用できるように、サービス利用中に乗客が被ったトラブルを補償する保険商品の開発でオンデマンド保険会社の米トロブと提携した。

ウェイモはロボタクシーサービスの需要開拓に向けた取り組みにも着手した。18年7月、小売り大手の米ウォルマート、ショッピングモールを展開する米DDR、米エレメントホテルと提携し、アリゾナ州フェニックスで共同プロジェクトを実施することを明らかにした。ウォルマートとはユーザーがネット注文した商品をウォルマートの店舗に取りに行く場面で、DDRとはユーザーが同社のショッピングモールに出かける場面で、エレメントホテルとは同ホテルの宿泊客が外出する場面で、それぞれロボタクシーサービスを利用できるようにする。

このほか、エイビス・バジェット・グループとオートネーションの提携関係も拡大し、両社のユーザー向けのロボタクシーサービスを開始する。さらに18年8月にはフェニックスの交通機関であるバレーメトロとの提携も発表。最初は従業員向けに、将来的にはバレーメトロのユーザーを対象とするファースト&ラストワンマイル(自宅/目的地と交通機関の最寄り駅を結ぶ区間)向けのロボタクシーサービスの提供を予定する。