リフト、自動運転技術と車両開発に注力

一方のリフトは、オンデマンド配車サービスで多くのユーザーを獲得していることに加え、利用場面の拡大に向けた多面的な取り組み実績がある。米ウォルトディズニーとはフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内の移動用途で共同事業を、ファーストフード大手の米タコベルとはアプリ連携による期間限定のマーケティング支援を実施している。17年5月には医療保険加入者向けの医療機関への送迎サービス関連で、全米の保険会社を代表するブルークロス・ブルーシールド協会と提携した。

ファースト&ラストワンマイル向け事業では、カリフォルニア州モンロビア市やネバダ州の南ネバダ地域交通委員会、ワシントン州のバス会社、ノースカロライナ州シャーロット市、鉄道大手の米アムトラックなどと提携関係を結んでサービス開発を進めている。これらはどれも、ロボタクシーサービスの適用が期待される事業分野であり、モビリティーサービス市場の拡大につながる取り組みといえる。

そのリフトがロボタクシーサービスの事業化で注力しているのは、自動運転技術の獲得とロボタクシーの品ぞろえである。

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リフトのポジションチャート(提携関係図)。リフトは、自動車メーカーとはロボタクシー車両の調達で、自動運転開発企業と自動車部品メーカーとはロボタクシーの技術開発で、それぞれ個別に資本・業務提携を進めている

提携している自動運転ソフト開発ベンダーはウェイモ、米ヌトノミー、米Drive.ai。このほかにも、自動運転開発を手掛ける自動車部品大手の米アプティブ(旧デルファイ・オートモティブ)と加マグナインターナショナルともロボタクシーの技術開発で提携関係にある。

ロボタクシー車両の調達に関しては、米ゼネラル・モーターズ(GM)、JLR、米フォード・モーターの3社と提携済み。活動資金の面でも、GMからの5億ドルをはじめとして、JLRの子会社でモビリティーサービスを専門とするInMotion、マグナインターナショナル、ウェイモの親会社である米アルファベットの投資部門「CapitalG」などから出資を得ている。

リフトはロボタクシーサービスの実証実験も始めている。ヌトノミーとは米ボストンで、アプティブとは米ラスベガスで、それぞれのロボタクシーを活用したオンデマンド配車サービスの実証実験を実施した。

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写真左は、米ボストンの公道を走行するヌトノミーのロボタクシー(出所:ヌトノミー)。右は米ボストンの実証実験で用いられた配車アプリの画面(出所:リフト)
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米ラスベガスの公道を走行するリフトとアプティブが共同開発したロボタクシー(出所:リフト)

18年5月には、ロボタクシーを用いたオンデマンド配車サービスをアプティブと共同で立ち上げることを発表。アプティブはロボタクシーを、リフトは配車アプリと配車プラットフォームを提供する。両社のパートナーシップ契約は複数年にわたるもの。最初のサービスはラスベガスで実施され、30台のアプティブの車両が使われる予定である。

ウェイモとリフト、開発で提携

リフトがどのようにサービス展開を進めるのかは見えていないが、協業関係から判断すれば、今後のサービスではアプティブの車両に加えて、ヌトノミー、GM、JLRの自動運転車両の活用が始まるだろう。複数のロボタクシーを用いることは、自動運転ソフトと配車プラットフォームの相性確認や、地域やユーザー属性別の車両ニーズの把握につながり、ロボタクシーサービスの提供ノウハウの獲得を加速する。

一見、競合関係にあるように見えるウェイモとリフトであるが、両社はロボタクシーの開発で提携関係にある。このため、両社がそれぞれ獲得した実用化ノウハウが相互に共有されることも十分に考えられる。当面はウェイモとリフトが、ロボタクシーサービスの実用化で他社の先を行くことになりそうだ。

この記事は日経BPクリーンテック研究所の研究員が執筆し、日本経済新聞電子版のテクノロジー分野「自動運転」に「自動運転が作る未来」として掲載したものの転載です(本稿の初出:2018年8月20日)。