東南アジアのグラブ、インドのオラ、中国の滴滴出行(ディディチューシン)、そして米ウーバーテクノロジーズ――。世界のオンデマンド配車大手への出資によってモビリティー産業への進出を加速するソフトバンクグループ。その中で「移動弱者」に代表される足元の課題解決を自動運転バスの実用化というソリューションで実現しようとしているのがSBドライブ(東京・港)だ。

SBドライブの佐治友基社長

SBドライブの設立は2016年。15年春に開催されたソフトバンク社内のビジネスアイデアコンテストに、佐治友基社長が「自動運転技術を活用した交通インフラ事業」を提案。これがきっかけとなり、ソフトバンクと東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センターを母体とする自動運転ベンチャー「先進モビリティ」の合弁会社として誕生した。

SBドライブのソリューションの中核は、同社が開発した自動運転バス総合プラットフォーム「ディスパッチャー」。自動運転バスを安全に運行することを目的としており、バスの運行と車内外の状況を遠隔からリアルタイムで監視できるほか、停止や発進を遠隔操作したり、音声やディスプレーを用いて車内の乗員と遠隔からコミュニケーションしたりできる。

これまでの実証実験での試乗人数は3000人を数え、総走行距離は1万4000キロメートルを超える。実験には、ベース車両となる日野ポンチョに先進モビリティの自動運転機構を組み込んだ自動運転バスと、世界中で自動運転デモを実施している仏ナビヤの自動運転シャトル「ナビヤ・アルマ」を用いる。18年7月には、中国において自動運転プラットフォーム開発プロジェクト「アポロ計画」を主導する百度(バイドゥ)の日本法人と、アポロを搭載した自動運転バス「アポロン」の活用で協業することを発表した。今後の実証実験での活用を視野に置く。

国内で自動運転バスの豊富な実証実験の実績を持つSBドライブの佐治社長と宮田証最高執行責任者(COO)に、日本における自動運転バスの実用化動向と、その実現に向けた課題を聞いた(以下、敬称略)。