―アイサンテクノロジーの自動運転ビジネスにおける事業領域はどこか。

アイサンテクノロジーが計測した高精細3次元デジタル地図の基となる点群データの例(出所:アイサンテクノロジー)

「我々の事業におけるプラットフォームは、どこまでいっても3次元地図にある。これは変わらない。これが世の中に広がっていくことが、我々のビジネスとしては一番うれしい」

「自動運転関連ビジネスの取り組みは2つある。一つは我々が出資するダイナミックマップ基盤という協調領域の会社を通じて、自動車メーカー向けに自動運転のプラットフォームを提供すること。もう一つは、自治体向け、交通事業者向けに一般道の自動運転サービスを提供することだ」

高精細地図「今は必要」

―自動運転サービスを実現する上で高精細3次元デジタル地図の必要性は?

「自動運転サービスを実現するために高精細地図がどこまで必要かという疑問に対しては明確な答えがある。それは、「今は必要」ということだ。ただし、これから30年とか40年たてば、センサーや人工知能(AI)の発達に伴って、その役割が小さくなっていくだろうことは想定している」

―それはセンサーの能力が高まることが予想されるからか。

「センサーと地図の関係は2つしかない。『リッチハード、ライトマップ』か『ライトハード、リッチマップ』のいずれかだ。足して1となるように、ハード(センサー)とマップ(地図)のどちらかをリッチにする必要がある」

「今はまだどちらの技術も開発途上にあるから『リッチハード、リッチマップ』にならざるを得ないが、それは次第に『ライトハード、リッチマップ』に変わっていくだろう。その後、性能的にはリッチハードといえるセンサーの価格が下がってライトハードとなり、それに合わせて地図もリッチからライトになっていくとみている。もちろんAIの進化なども深く関係してくるだろう」

―単独でプラットフォーム全体のサービス提供を手掛けるのか。それともパートナーに地図を売るビジネスを主眼とするのか。

「我々はティアフォーと強力なタッグを組んでいる。そして、彼らは自動運転ソフトウエアのプラットフォームをつくり、我々は3次元地図のプラットフォームをつくる。つまり、パートナーと一緒に自動運転制御のシステムそのものをプラットフォーム化している。Autoware(オートウエア)という自動運転向けのオープンソース・ソフトウエアを用いて自動運転制御そのものの機能を提供するほか、ドライバーシートが無人の自動運転車向けに緊急時に遠隔から車両制御を実行する遠隔監視や遠隔制御機能も開発・提供している」

―自動運転ビジネスに関してはティアフォーと一緒にやっているということか。

「そうだ。ティアフォーがいなければ我々の一般道の自動運転サービス事業プランは実行できない。共同事業体だと考えてもらってかまわない。彼らは優秀なエンジニアが集まってプラットフォームを開発している。我々は、彼らが作ったものに3次元デジタル地図を組み込んで車両に実装する。クルマ、ソフトウエア、地図──この3つがそろえば、すぐに自動運転できるところまで完成度を高めている。今は『この場所で自動運転してほしい』と言われたら、3日もあればその場所で自動運転できる状況になっている」

「ただし、実際に自動運転で公道を走行するとなると、さまざまなノウハウが必要になる。行政との調整をはじめ、通信関連、保険関係、リスクアセスメントや法制度問題などもクリアしなければならない。電気自動車なら充電はどうするかを考えなければならないし、場合によっては道路を拡張してもらうことや『信号情報の提供が可能でしょうか』という要求を出すこともある。我々はこうした事業ノウハウも提供する」

「我々ができないところについては、別のプレーヤーと組んで提供していく。今は、そのようにして公道で自動運転を実施するためのパートナー連携を広げているところだ。例えば、資本・業務提携を結んでいるKDDIと、運転席が無人となる自動運転車の実現を想定したサポートセンターを開設した損害保険ジャパン日本興亜は、コアパートナーである」

無人運転の移動サービス、19年にも

―自治体との連携について聞かせてほしい。

「17年度までは技術実証が多かったが、相当数の自治体と実証実験をしてきた。全国初の公道におけるレベル4の実証実験も実施した。そのような実績を踏まえて多くの自治体からいろいろな形での連携希望が届いている」

「その中で見えてきたのは、それほど遠くない時期に自治体と連携して自動運転サービスを実用化できそうだということ。レベル4の無人運転による移動サービスを計画する自治体が実際に出てきている。その自治体は我々の技術を採用して、19年から20年にかけて無人運転での移動サービスを始める準備を進めている」