民間と連携しコンテンツ技術を検証

そのエリアマネジメント組織が、竹芝地区まちづくり協議会と一般社団法人竹芝エリアマネジメントだ。

竹芝地区まちづくり協議会は2014年9月設立の地域団体で、鈴江コーポレーション取締役執行役員である林司氏が会長を務める。会員は、地区内の地権者やテナント、住民組織、行政機関など、39者にのぼる(2017年4月現在)。

これに対して竹芝エリアマネジメントは、協議会の事務局を担う一方、協議会の提言を受けてエリアマネジメントを推進していく組織として2017年3月に設立された。それまでは事業者側でエリアマネジメントを推進する役割を担ってきたが、約4年間の準備期間を経て同法人を立ち上げ、独立した推進体制を整えるに至った。

これらの組織によるエリアマネジメント活動には、災害対応やにぎわい創出という従来の枠組みを超えたものもみられる。それは、先端のデジタル技術の社会実装に向けた、まち中での可能性検証である。

「先端のデジタル技術をまち中に落とし込み、エリア全体を技術のショーケースにしていきたい」。東急不動産都市事業ユニット都市事業本部ビル事業部事業企画グループ係長で竹芝エリアマネジメントを兼務する花野修平氏は抱負を語る。

その萌芽はすでに出始めている。

竹芝エリアマネジメントが2017年8月、竹芝客船ターミナルを会場として主催した竹芝夏ふぇす「TAKESHIBA Seaside Music & Dining」。このイベントではCiP協議会を代表とするコンソーシアムと連携し、プロジェクション技術など各種のコンテンツ技術を地域活性化に活用する可能性を検証した(写真1、写真2)。

(写真1)2017年8月開催のイベント「竹芝夏ふぇす」で実施されたプロジェクション体験の一つ、プロジェクションによる動く道案内表示。会場である竹芝客船ターミナルの1階中央広場路面に案内を映し出した(画像提供:東急不動産)
(写真2)同じく「竹芝夏ふぇす」で実施されたプロジェクション体験の一つ、コンテンツプロジェクション。中央広場をまたぐフロアデッキ側面に島しょ地域の写真や動画などを映し出した。このプロジェクションに関しては、シンガポールに本社を置くヘキサゴンソリューションの日本法人であるヘキサゴンジャパンの協力を得た(画像提供:東急不動産)

例えばプロジェクション技術を活用した道案内表示。会場である竹芝客船ターミナル内の動線が初めての来場者には分かりにくいという課題に応えるものだ。路面に動きのあるプロジェクションで視覚情報を提供し、直感的で分かりやすい会場誘導を図った。

建築物へのプロジェクションに意欲

このイベントからも分かるように、エリアマネジメント組織はCiP協議会の活動をまち中に展開させていくためにも欠かせない存在。この2つの仕掛けが両輪となり、先端のデジタル技術から新しいサービスやビジネスが生み出される動きをけん引する。

将来を方向付ける2つの仕掛けが先行する竹芝エリアでさまざまなデジタル技術が社会実装されていくようになれば、都市の未来像も各様に描けるようになる。

事業者側で思い描く未来像の一つは、にぎわい創出にも結び付く建築物へのプロジェクションマッピングの実現だ。2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向けて日本の魅力を訴える有力な手段としても注目を浴びる技術である。

ただ建築物への投影は現在、それが「屋外広告物」と認められると自治体から屋外広告物条例に基づく規制を受けるなど、実現には越えるべきハードルがある。田中氏は「何らかの形で規制緩和を受けて実現していきたい」と意欲を見せる。

追い風も吹き始めている。政府の規制改革推進会議は2018年2月、「プロジェクションマッピングに係る規制に関する意見」をとりまとめた。プロジェクションマッピングは規制の対象になる「屋外広告物」には含まれないことを明確にする必要性をまず指摘したうえで、それにふさわしく、その実施を促進する最小限のルールを早急に定めて、自治体に対応を求めるべき、と訴えている。

1990年代前半に再開発を終えた竹芝ふ頭は海に向かって開かれているものの、陸側との連携は弱いと言わざるを得ない。客船ターミナルを持つだけに自ずと人が集まる拠点性を備えながら、それをエリア全体のにぎわい創出に生かし切れていなかった(写真3)。

(写真3)浜松町を変える起爆剤の一つ、「(仮称)竹芝地区開発計画」の業務棟建設現場。左手の白いビルは、竹芝ふ頭の再開発で1995年8月に完成した地上21階建てのオフィスビル、ニューピア竹芝サウスタワー(写真:茂木俊輔)

「(仮称)竹芝地区開発計画」の実現によってそうした状況を打開できれば、竹芝エリアの価値は高まる。プロジェクションマッピングなど社会実装された技術が、エリアを訪れる内外の人にワクワク感をもたらすようになれば、なおさらだろう。

 先端のデジタル技術を中心に、人が集まり、ビジネスが生まれ、ワクワクするまちへ――。新しい未来が始まろうとしている。