公民館のホール機能は公民連携で建て替える小学校に、そのプール機能はやはり公民連携で整備する民間スポーツセンターに――。そんな機能再編型の公共施設再配置が、愛知県高浜市で進んでいる。施設マネジメントから都市づくりにまで視野を広げられれば、施設機能の集約化・複合化による拠点整備で都市に新しいアクティビティーも生み出せそうだ。

建て替える小学校は、高浜市立高浜小学校(写真1)。校舎は1959年から段階的に整備されてきたもので、耐震改修によって耐震性は確保されているもののコンクリートの劣化など老朽化が著しいという。2017年内には起工式を行い、19年4月供用開始を目指す。

(写真1)高浜市立高浜小学校。見えている校舎が1959年完成のもの。この裏手に別の校舎や体育館が建つ (写真:茂木俊輔)

ここで整備するのは、小学校の校舎や体育館だけではない。現在解体中の中央公民館が備えていたホール機能をはじめ、一般市民向け運動施設の体育館機能、公民館や高齢者向け施設の集会室機能など、複数の機能を地域交流施設として併設する(図1)。

(図1)高浜小学校の建て替え事業に併せて新しく整備する複合施設内に移転・集約される機能(※基本計画段階のもの。「高浜幼稚園」は小学校建て替え事業の対象外で、今後、別の事業として建て替える予定)(資料:高浜市)

ホール機能は「メインアリーナ」と呼ばれる小学校の体育館で受け止める。通常の体育館に比べステージに奥行きを持たせたうえで、その近くに館内を通らずに出入りできる控室を確保する。客席は電動自走式の移動観覧席300席を設置する。

公共施設マネジメントを担当する高浜市総務部行政グループグループリーダーの山本時雄氏は「中央公民館のホールは600席規模。これに対してこのアリーナでは、パイプいすを併用することで最大700席は確保できる」と説明する。

小学校を中心とする複合施設だけに、セキュリティーの確保には気を配る。建物全体を新校舎と地域交流施設の大きく2つに分け、出入り口を学校用と地域用に切り分ける。ただ、小学校の音楽室や家庭科室など一部の施設は地域住民の利用も可能な造りにするなど、複合施設としての一体的な利用も見込む。

事業方式はPFI(民間資金を活用した社会資本整備)を活用。地元建設会社である近藤組を代表企業とする民間事業者が施設を建設し、それを市に対して引き渡した後、事業期間として定められた15年間にわたってその維持管理業務を行う。

設計・施工や維持管理など民間事業者の業務対価を、市はその事業期間である15年の間に支払う仕組み。山本氏は「財政支出を平準化できるうえ、施設建設に民間事業者の柔軟な発想を生かせる」と、公民連携の仕組みを採用する意義を説く。

プール機能は民間スポーツ施設に

課題は運営だ。機能の集約・複合化に伴い、これまでその機能を持つ公共施設を利用していた団体がここに集まることになる。団体同士の、また団体と学校側との調整は欠かせない。各機能を持つ公共施設の運営主体は現在、それぞれ異なる(図2)。運営主体としてどこがその役割を担うか。市では現在検討中だ。

(図2)複合施設内に移転・集約される機能を持つ公共施設の現在の運営主体はそれぞれ異なる(資料:高浜市)

市が想定するのは、小学校区単位で防災・防犯などさまざまな活動に取り組んできた地域団体『まちづくり協議会』である。山本氏は小学校を中心とする複合施設のセキュリティー確保に向けて設計面での配慮が必要であることは認めたうえで、「地域住民の目も、セキュリティーの確保には有効だ」と、運営面の配慮を強調する。

小学校を中心とする複合施設にさまざまな機能を集約する一方で、これまで学校施設の一部だったプール機能だけは施設外に求め、建て替え事業の中では整備しない方針だ。水泳指導を、民間スポーツ施設を利用したものに切り替えるためだ。

民間スポーツ施設を利用した水泳指導のメリットを山本氏はこう指摘する。「学校の屋外プールでは水泳指導の可否が天候に左右されてきたが、それがなくなる。指導力や安全性の向上にも期待が持てる」。市は送迎業務も民間事業者に委託する方針だ。

この民間スポーツ施設は、隣接する小学校区内に立地していた勤労青少年ホーム(写真2)の跡地活用事業として並行して整備するものだ。

(写真2)勤労青少年ホーム跡地。公共施設再配置の一環として2017年8月にすでに閉館している(写真:茂木俊輔)

勤労青少年ホームとは主に中小企業で働く若者向けの福祉施設。市は跡地を有償で民間事業者に貸し付け、もともとある屋外テニスコートを生かしながら屋内温水プールを備えた民間スポーツ施設を整備する方針だ。供用開始予定は小学校を中心とする複合施設と同じ2019年4月。事業期間はそこから30年間を想定している。