パブリックスペースを利用者中心の、もっと可能性のある空間にしたい――。そんな思いで制作されたのが、「みらいの公園」を提案する「PARK PACK」という舞台装置だ。東京・六本木の東京ミッドタウンの芝生広場に10月19日から11月4日まで、東京ミッドタウン主催のデザインイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2018」の一環として出展された。

イベント会場である東京ミッドタウンの芝生広場には、ピンク、オレンジ、ブラック、といった色鮮やかな4つのコンテナが並ぶ(写真1)。この一つひとつが、「PARK PACK」。内部には、「みらいの公園」の舞台装置が収納されている。

(写真1)東京ミッドタウンの芝生広場に出展された「PARK PACK」。4つのコンテナが「みらいの公園」の舞台装置を提供する(写真:茂木俊輔)

例えばピンクのコンテナ。そこには、組み合わせることによって多様なアクティビティーを可能にする「モジュール」というツールが収納されている。軽く、丈夫な樹脂製で、水に強いのが特徴だ。公園利用者はここで借り出し、思い思いに使用する(写真2)。

(写真2)大きく2種類の「モジュール」が用意された。レジャーシートやボール代わりとして、またテーブルやいすなどとして使うことができる(写真:茂木俊輔)

「モジュール」の一つは、1辺40cmの三角形やひし形で構成されたものだ(写真3)。そのまま地面に並べるだけでレジャーシートになる。また頂点あたりでつなぎ合わせれば、ひと抱えほどの大きさで、ボールのように遊べる正二十面体にもなる。

(写真3)子どもたちが手に取る三角形の「モジュール」は川上産業のプチロイド製。日建設計と東京大学・舘研究室と川上産業の三者で共同開発した(写真:茂木俊輔)

別の「モジュール」では、テーブルやいすを組み立てられる(写真4)。テーブルは、2枚の部材で脚部をつくり、そこに天板1枚を載せる。いすは、1枚の部材を折り紙のように折り畳み、端をマジックテープで固定する。腰掛けてもビクともしない。

(写真4)組み合わせるとテーブルとして、折り畳むといすとして使うことができる「モジュール」も、同じ三者の共同開発。素材には川上産業のプラパールを用いる(写真:茂木俊輔)

「今回の提案は、これら4つのコンテナで、その場所を『みらいの公園』にする、という試み」。そう解説するのは、「PARK PACK」を制作した「ULTRA PUBLIC PROJECT」の一員で、ライゾマティクス代表取締役の齋藤精一氏だ。

「ULTRA PUBLIC PROJECT」とは、「究極のパブリックスペースをつくれるチームを立ち上げよう」(齋藤氏)という意図から、ライゾマティクス、電通ライブ、ティー・ワイ・オーの3社のメンバーで組織したユニットだ。「PARK PACK」の制作を前に、日建設計とプロペラ・アンド・カンパニーの2社のメンバーが加わった。

原点には、都市公園をはじめとするパブリリックスペースへの問題意識がある。

利用者データを運営に生かす

「ボール遊びができないなど禁止行為がたくさんある。『公の園』である公園でそうした遊びができないのは、おかしい。民間施設に付帯するパブリリックスペースをつくり、そこでイベントを開催することもあって、真のパブリリックスペースとは何かを意識するようになった」(齋藤氏)。

日ごろ公園整備に携わる機会が多い日建設計プロジェクト開発部門パブリックアセットラボ主管の伊藤雅人氏は、禁止行為の多さの裏に運営の欠如があるとみる。

「公園は整備して終わりでなく、その後の運営が大事。禁止行為を列記した看板を立てて済ませるのではなく、『こういうことをやりたい』という利用者の声に運営の担当者が向き合い、それをやってもらうことができれば、公園はもっと良くなる」