東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅前で、商業施設や運動公園で構成される一帯が生まれ変わった。間を隔てる道路が廃止され、用途の異なる2つのゾーンは民間版の図書館や児童館などで結ばれた。地元行政の東京都町田市と沿線開発に取り組む東急の公民連携で誕生したこのまちは、地域のグリーンインフラとしてパークライフの再発見を提案する。

「決して買い物のついでというわけではない。この公園で1日過ごそうという意気込みで来てくれる。ここなら子どもを安心して走り回らせられるし、近くで買い物もできる。こういう場所が求められていたのではないか」

来園者の様子をこう話すのは、町田市都市づくり部都市政策課担当課長の辻野真貴子氏だ。この公園は東急田園都市線南町田グランベリーパーク駅近くの鶴間公園。2019年11月、再整備を終え、リニューアルオープンを果たした(写真1)。

(写真1)2019年11月にリニューアルオープンした鶴間公園。地元の町田市が約23億円を投じて再整備した。写真は、園内で商業ゾーンに最も近い「さわやか広場」と呼ばれる芝生広場(画像提供:町田市・東急)
[画像のクリックで拡大表示]

再整備では、樹木の一部を間引き、園路を整えた。森の中に幼児向けの遊具を置き、要所に屋根付きのテラスを設けた。公園の西端にあたる境川沿いには、人工芝グラウンドを整備し、園内のテニスコートを移設・拡充した(写真2)。

(写真2)鶴間公園では里山の風景を受け継ぐ「つるまの森」内に園路や遊び場などを再整備した(画像提供:町田市・東急)
[画像のクリックで拡大表示]

辻野氏は「公園の基本構造は変えていない。以前の風景を引き継ぎながら、居心地は格段に良くなった」と話す。リニューアルオープン後は、平日約1500人、土日5000~6000人、と想定を大幅に上回る来園者が訪れたという。

人気の理由は、公園ゾーンを再整備したからだけではない。駅前から連なる商業ゾーンとの間を隔てる道路を廃止し、2つのゾーンを一体整備したからでもある。言わば公園というオープンスペースとの一体整備が、まちの価値をぐんと上げた。

公園ゾーンを所有・管理するのは地元町田市。対して商業ゾーンを所有・管理するのは、鉄道事業者でもある東急のグループだ。公共と民間が手を携え、公民連携で一体整備に乗り出したのは、どのような背景からなのか――。

話は、1970年代にさかのぼる。東急電鉄(当時、現東急)は田園都市線を中央林間駅まで延伸させるのに併せて沿線の宅地開発を進めていた。南町田グランベリーパーク駅の前身である南町田駅の開業は1976年。鶴間公園はその3年後に開園した。

ところが、駅前の商業ゾーンは低未利用のまま。南町田グランベリーパークの前身とも言える「グランベリーモール」が暫定施設として開業したのは、駅開業から四半世紀後の2000年である。その土地利用を見直す中で、公園ゾーンとの一体整備が持ち上がった。

辻野氏は振り返る。「駅前にオープンスペースと同規模の未利用地が並ぶことはそうない。再整備にあたっては、郊外住宅地の課題を解決していくことを目指した」。

商業ゾーンと公園ゾーンを一体整備

課題とは、住宅地としての持続可能性だ。

田園都市線の沿線住宅地は1970年代の前後に供給されたため、その後半世紀の間に住民の高齢化が進んだ。将来を見すえると、例えば駅前にマンションを供給するなど高齢世帯の住み替えを促し、沿線住宅地に若い世代を取り込みたい。

市と東急が同じ目標を見すえながら検討した結果として持ち上がってきたのが、商業ゾーンと公園ゾーンの一体整備である。

「2つのゾーンは道路で隔てられ、しかも商業ゾーンは公園ゾーンに対しては背を向けていた。来街者は公園の存在に気付かないままだった。それを一体整備し、このまちに住み続けたい、このまちに暮らしたいと思える魅力を生み出そうと考えた」(辻野氏)。

市と東急はまちづくりの推進に関する協定を交わしたうえで、商業ゾーンと公園ゾーンを中心とする一帯約18.2haを対象にグループ企業も交えて土地区画整理事業を施行。沿線開発時に一度は整備された都市基盤をあらためて整備し直した。

そのうえで市が鶴間公園を再整備する一方、東急がグループ会社と商業施設「グランベリーパーク」を建設。2019年11月、「南町田グランベリーパーク」としてまち開きに至った。東急はまち開きを前に最寄りの南町田駅をリニューアルし、19年10月には同駅の名称を南町田グランベリーパーク駅に改めた(図1)。

(図1)南町田グランベリーパークの見取り図。「グランベリーパーク」「鶴間公園」「パークライフ・サイト」という3つのゾーンで構成されている(資料提供:町田市・東急)
[画像のクリックで拡大表示]