自動運転を実現するための技術躍進が目覚ましい。技術開発のトレンドは2つ。1つは完全自動化を目指し、人がハンドルを握る必要がない自動車を作り上げること。もう1つは、ドライバーの快適な運転をサポートし、ヒューマンエラーを防いで安全な走行を実現する技術の搭載だ。より安全で心地いい運転時間を約束する「運転支援」の観点から、実用化へのステップが進む。新しい機能の搭載によって人と車の関係はどのように変化していくのか、その未来を探る。

実用化が進み続ける“自動運転”

2017年秋にドイツの自動車メーカーは、自動運転機能の「レベル3」を世界で初めて搭載した新型車を発売するが、今は自動車メーカーだけでなく、自動運転車の開発企業をグループに持つGoogleをはじめとした異業種の参入も活発化し、自動運転技術の発展が世界規模で注目を集めている。

自動化レベル 概要 左記を実現するシステム
レベル1 加速・操舵・制御のいずれかを自動車が行う状態 安全運転支援システム
レベル2 加速・操舵・制御の複数の操作を自動車が行う状態 準自動走行システム 自動走行システム
レベル3 加速・操舵・制御を全て自動車が行い、緊急時のみ運転者が対応する状態
レベル4 加速・操舵・制御を全て運転者以外が行い、運転者が全く関与しないシステム

日本における自動運転車の水準(レベル)の定義

自動運転は車の新たな形というだけでなく、社会課題の解決にも寄与すると考えられている点からもその実現が切望されている。ゼロにならない交通事故の抑制はもちろんのこと、超高齢社会の到来で訪れる職業ドライバーの高齢化によるドライバー不足、郊外の公共交通機能、増加し続ける物流対策がその一例。DeNAがヤマト運輸と共同で進める「ロボネコヤマト」プロジェクト、EASYMILEと進める無人自動運転サービス「ロボットシャトル」など、すでに実用化に向けた動きは始まっている。

自動運転進化の過程で
かえって“漫然運転”が増える?

自動車と切っても切り離せない問題が交通事故。死亡事故を減らすため、車体の改善、センサーを活用した検知技術、衝突を回避する自動ブレーキ機能などが進化してきた。ただし、車体の制御だけでは、ヒューマンエラーによる交通事故を防ぎきることはまだまだ難しい。

死亡事故の要因として最も多いのは、“漫然運転”だというデータがある。考えごとで運転に集中できていないとき、単調な道で緊張感が薄れたとき、実は重大な事故の危険性は高まっている。ドライバーなら誰もが一度はドキッとした経験があるかもしれない。なかでも、大きな事故へとつながりやすいのが居眠り運転。適切な操作をしないまま事故を引き起こすため、その影響が甚大であることが問題視されている。そして、それは“不完全な”自動運転時代にむしろ増えていくかもしれない。自動運転のレベルが進むにつれドライバーにかかる負担が軽減される一方、注意力が低下したドライバーが大きな事故をおこしかねないと懸念されているのだ。

死亡事故件数の推移を見ても、漫然運転は常に事故原因の1位である(警視庁交通局の「平成27年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況について」データより作成)

ドライバーモニタリングシステムで
居眠り運転による死亡事故をゼロへ

パナソニック株式会社
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 技術本部
センシングソリューション開発センター
機能センシング開発部
開発3課 課長
楠亀 弘一 氏

そうした痛ましい事故を減らすためにパナソニックが開発したのが、眠気を予測し、覚醒させるドライバーモニタリングシステムである。開発の最前線に立つパナソニック株式会社 機能センシング開発部の楠亀 弘一 氏に、システムの現在、今後の可能性を伺った。

「自動運転が発達していくと、人の手が介在する操作は少なくなる。そうなれば、運転者の意識は漫然とし、眠気も増していく。自動車自体がすべての危険を察知して回避できるようになればよいのですが、完全な自動運転が完成するにはまだかなりの時間がかかると予想しています。自動運転が進化していく過程で、かえってヒューマンエラーによる事故が増えてしまうかもしれない、そういった危機感が開発の背景にはありました」。