時間帯を問わずに配送可能、ドライバーが実感した効率性

再配達の増加を実感してきたのは他ならぬドライバーたちである。ヤマト運輸株式会社の野坂和男氏は、実験前の状況を次のように語る。

ヤマト運輸株式会社
福井主管支店
あわらセンター センター長
野坂 和男 氏

「やはり共働きが多い地区なので、再配達は夜間指定が多いです。ネット通販の増加で、一つひとつの荷物が小さく、数量が増えていることも影響しています。我々としては再配達が多いと業務が夜間に集中してしまうため、どうしても労働時間が増えてしまいます。このセンターに13年間勤務していますが、年々忙しくなっているのは確かですね」(野坂氏)

しかし、宅配ボックスの設置によってその風景は変わった。「今までは夜しか在宅していないため昼間にお届けができなかったお宅にも、宅配ボックスがあるおかげで伺えるようになりました。これによって配達のプランも変わり、以前よりも業務が効率的になったと感じています」(野坂氏)。そして設置した家の住人からの「宅配ボックスのおかげで助かっている」との声を何度も耳にした。

ヤマト運輸株式会社
福井主管支店
主管支店長
安蘇 慎一 氏

ヤマト運輸株式会社の安蘇慎一氏は「お客様がストレスなく荷物を受け取れる取り組みを、これからもさらに進めていきたい」と話す。再配達は受け取る側も指定の時間にあわせて待たなくてはならない。今は地方都市の一部に過ぎないが、住宅用宅配ボックス導入が全国に広がれば、ドライバー、消費者双方にとって再配達のストレスは激減するに違いない。

日本中に宅配ボックスが広がれば、新しい価値が生まれる

パナソニックでは約25年前から住宅用宅配ボックスの技術開発・販売を手がけてきた。マンションなど集合住宅のみならず、早い段階から戸建て住宅用宅配ボックスを提供しており、2008年~2015年には年率115~120%で販売台数を伸ばしてきた。

プロジェクトで設置したのは住宅用宅配ボックスの「COMBO(コンボ)」シリーズで、次のような特徴を持つ。
・受取人不在でも、宅配業者が宅配ボックスに荷物を入れて押印可能
・新築・リフォームを問わず、埋め込んだり、壁に取り付けしたり、台座に設置したり、あらゆる個人宅の外構に対応
・電力不要の機械式を採用し、設置時の電気工事不要、設置後も電気代不要

住宅用宅配ボックス「COMBO(コンボ)」シリーズの新商品COMBO-F(コンボ‐エフ)。左から投函部分、外扉を開けた宅配物の有無を確認できる部分、防犯性に配慮したダイヤル錠とシリンダー錠のついた受取部分となっている。
パナソニック株式会社
エコソリューションズ社
ハウジングシステム事業部
外廻りシステムビジネスユニット
外廻り設備商品推進部
商品推進課 主務
藤野 光久 氏

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社の藤野光久氏は「日本でも有数の共働き世帯を抱える地域でここまでの効果があるとは、うれしい驚きです。おかげさまで、宅配ボックスが再配達を解消する1つの手段であることが実証できました」と実験の結果から確かな手応えを得た。

パナソニックの調査では、戸建て住宅用宅配ボックスは全体のわずか1%にとどまる。見方を変えれば、その伸びしろはまだまだ残されていることになる。だからこそ実証実験で効果を定量化できたことは大きな意味を持つ。「49%から8%まで減らせる」ことを説得力のある数値とともに示せるからだ。

パナソニック株式会社
エコソリューションズ社
ハウジングシステム事業部
外廻りシステムビジネスユニット
外廻り設備商品推進部
商品推進課 主務
品川 靖幸 氏

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社の品川靖幸氏は、「まずはベースとなる宅配ボックスの普及を日本中に広めたいと考えています。日本中の至る所に普及すれば、ボックスからボックスへ荷物や情報が移動していくような、新たな価値やサービスが生まれる可能性も出てきます」と未来を語る。

これらの結果や取り組みが評価され、「宅配ボックス実証実験」は2017年度のグッドデザイン賞を受賞した。国を挙げて再配達問題を解決する方向に向かっている追い風もあり、今後、宅配ボックス設置の動きが加速するのは想像に難くない。そこにはあわら市のような補助金制度も必要になる場合があるだろう。社会課題解決に向けて自治体と民間企業が手を組むプロジェクトの輪が、日本中に広がることに期待したい。



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「再配達防止」に向けたさまざまなソリューションの詳細や展望をご紹介。

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