今後はカメラやIoTセンサーを活用したサービス提供も視野に
スマートストリート・ソリューションの提供に当たって、両社は港区と連携し、JR田町駅東口付近にストリートサイネージを設置して、2018年4月4日~2019年3月の期間を設けて実証実験を開始した。
サイネージに流すコンテンツは、平常時は港区の区政情報や広報用の動画など、また光化学スモッグ注意報が発令されるなどの非常時には、日本語・英語・中国語・ハングルの計4か国語で緊急情報を流す。放映時間は午前5時から翌午前0時まで、非常時には24時間いつでも割込配信ができるようになっている。


「他の自治体の街づくり協議会や不動産ディベロッパーの方々にも見学に来ていただき、“こういうことをやりたかったんだ”というお声を数多くいただきました。今回のような仕組みを、例えば自治体様だけで構築しようとすれば、場所の確保から機器の設置など全てを自分たちで行う必要があります。しかしストリートサイネージをご利用いただけば、そうした手間やコストを削減できます」(渋谷氏)
サイネージを利用したいと考える自治体や企業は、配信するコンテンツの企画制作に集中できるということだ。しかしサイネージでより多様なコンテンツを配信するためにはまだ1つ、乗り越えなければならないハードルがあるという。それが東京都の屋外広告物条例だ。この点について、田中氏は次のように説明する。
「現在都の条例では、路上で商用広告を行うことが許されておらず、公共的な情報しか流すことができません。毎日同じものばかりでは見る人に飽きられてしまうので、例えばニュースや天気予報、電車の運行情報などを掲示したいのですが、その情報の信用性を保証するためには情報提供元の企業名を載せる必要があり、今はそれが広告と見なされているのです。2020年には国内外から多くの人たちが東京にやってきます。これから街頭アンケートも行い、港区様と一緒に“これだけニーズがあるので商用広告の掲示を是非認めてください”という働きかけを都にしていく予定です」(田中氏)

またストリートサイネージ自体にも、またまだ多くの可能性が秘められている。今後様々な場面での活用が期待されているのだ。
「現在のストリートサイネージにはセンサーとしてカメラを搭載しており、閲覧者の人数、顔認識により閲覧者の年齢・性別も推定できます。災害時の避難誘導計画に役立てたり、商用広告が解禁されれば、エリアマーケティングに活用することも可能でしょう。実証実験を通して、例えば月初は見ている人が非常に多かったが、同じ情報を流し続けていると数日後には見る人が減ってくるという傾向も分かってきました。さらに、様々なIoTセンサー、例えば震動や騒音センサーを付けてそのエリアのデータを収集し、不動産価値を算出するなどの利用方法も考えられます。温度や湿度、花粉などのセンサーを組み込めば、住民の皆様に安心・安全で快適な生活を送っていただくための情報を提供することが可能です。まずは2020年までに、ストリートサイネージが“新たなレガシー”となるように商用広告の規制を外してもらう働きかけを続け、2020年以降には、色々なIoTセンサーを載せて新しいビジネスを作っていきたいと考えています」(渋谷氏)

「加えて街づくり協議会や商店街の皆さんなど、このストリートサイネージを使って街を盛り上げていきたいという方がいらっしゃるなら、是非企画の段階からお話をさせていただき、その街に見合ったサイネージを一緒にデザインさせていただきたいと考えています。我々の取り組みは、まだまだゴールではありません」(田中氏)
【プレスリリース・トピックス配信】
≫ トピックス:パナソニックと東電PGが歩道上の配電地上機器を活用したデジタルサイネージサービスの共同実証実験を開始(2018年4月4日)
≫ トピックス:パナソニックが「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2018」で、パラスポーツ観戦ソリューションと情報配信サービスの実証実験を実施(2018年3月20日)
≫ トピックス:配電地上機器を活用した情報配信等に関する共同での企画・開発の開始について(2017年5月23日)
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