ICTとリアルを一気通貫で担当できるからこその強み

システムを担当したPSSJは、シンプルかつわかりやすい構成にこだわった。同社の日下田雅治氏は「海外の人たちのみならず、ホテル・旅館スタッフの人たちが一見してすぐに理解し、使えるようにするユーザーインタフェースを徹底的に考えました」と語る。そのため、QRコードによる簡単認証で荷物配送に必要な予約情報を連携する流れは当初から織り込み済みだったという。

パナソニック システムソリューションズジャパン株式会社
法人システム営業本部 流通・決済営業統括部
流通システム営業部 3課 1係 係長
日下田 雅治氏

一連の明瞭な操作性は、旅行者とスタッフ双方に抜群の効果をもたらした。それまで宿泊施設での配送手続きには15~20分ほどかかっていたが、LFT導入後はわずか1分半ほどと劇的に短縮。さらに宿泊施設のフロントや空港・観光案内所のカウンターに名刺大のLFT利用カードを置いてPRを図り、入国前の“タビマエ”だけではなく、日本周遊中の“タビナカ”での需要掘り起こしを加速している。LFT取次店は9月末時点で約600施設にまで到達。順次LFT受付用端末の設置を行い、LFTの取次ぎ開始を進めている状態だ。

「利用者のアンケートでは、9割以上の人に素晴らしいとの評価をいただきました。実際、日本滞在中に数回利用される方もいらっしゃいます。

観光事業者からも『非常に良いサービスですね』との声をいただいています。最近では事務局に『大変便利だと噂を聞いたのだが』といった宿泊施設さまからの問い合わせも増えてきました。こちらでサービスに付随したサポートを行うLFT専用コールセンターも用意しているため、LFT取次施設の方には、発送した荷物に関する問い合わせやまさかのときのトラブル対応から手離れできる点も喜んでいただいています」(和田氏)

地域の観光地や公共交通機関から問い合わせがあるなどの波及効果も出てきている。「例えば大きなスーツケースは1.5人分のスペースを取ってしまいますから、ただでさえ混雑する地下鉄やバスなどでは逼迫した問題です。2020年に解消されていないと大変なことになりますから」と和田氏。

LUGGAGE-FREE TRAVELサービスの特長

JTBが持つ訪日外国人旅行者情報を、サービス提供側のシステムに連携させるためにパナソニックが構築した「TRM(Traveler Relationship Management)」もユニークな仕組みとして挙げられる。旅行者の情報の一元化と各種サービス提供・利用に即した情報の橋渡しにより、今後さまざまな観光サービスへの展開を見込む。

「最近では家電量販店からの問い合わせもあります。買ったものを持ち運ばず、その場でホテルに送りたいという海外からのお客様のニーズが多いからです。このように、サービスがどんどん広がる可能性があります。将来的には旅行者の趣味・趣向をAIで解析して、さらに新しいサービスにつなげていきたい。TRMはそのハブとなる仕組みです」(日下田氏)

田中氏は今回の取り組みを通して、「システム上のバーチャルな部分から、人が触るリアルな現場まで一気通貫で担当できるパナソニックらしさが観光分野でも活かされています。ここで得た知見を、訪日外国人旅行者が使うシェアリングサービスなどに紐付けていけば、次のステップも見えてくるはずです」と話す。続けて和田氏は、次のように締めくくった。

「現場に導入して使っていただくところまできちんとフォローできる。それは100年以上にわたり旅行事業を手がけてきたJTBならではの強みです。

我々が掲げる理念は“デジタルとヒューマンタッチの融合による新たな価値提供”です。今後LFTでは、観光事業者、交通事業者、自治体などと連携しながらこれまでの関係性を活かして円滑に事業を進められる自信があります。まさにICTと信頼関係が融合するからこそ為せるわざなのです」(和田氏)

2020年に向けた更なる取り組みが期待される