ワクワクする未来“第三の腕”に向けて

早稲田大学は、“第三の腕”をRobotics Hubで共同研究している。研究を指揮するのは早稲田大学 創造理工学部 総合機械工学科 教授で、グローバルロボットアカデミア研究所 所長も兼任する岩田浩康氏だ。

岩田氏はかねてよりロボティクスを活用した身体拡張の可能性を模索してきた。その中の1つとしてたどり着いたのが第三の腕だった。ロボットアームを人の肩に装着することで、両腕がふさがっていても第三の腕がサブ的なタスクをこなせるようになる。これが発想の原点だ。

一般的にはロボットというと人型を想像するため、むしろこの研究は地味に見えるかもしれない。だが岩田氏は12年前、非常に高機能な介助ロボットを開発した経験を持つ。「人を抱き起こして運んだり、介助したりする自動ロボットでしたが、現場を見ておらず、使う人のニーズを反映していませんでした。高機能な人型ロボットはコストも見合わず、何よりそこまで求められていない。機能をたくさん持っているだけでは単なる展示物で終わってしまいます。まずは誰がどのように使うのかを想像すべき。これからはモノづくりの考え方も変わっていくと確信したんです」(岩田氏)。その結果、社会への実装を目的とした身体拡張の可能性へと舵を切った。

早稲田大学 総合機械工学科
グローバルロボットアカデミア研究所
所長
岩田浩康氏

パナソニックとの協業では“現場ニーズに根ざしたモノづくり”を足がかりにする。Robotics Hubのメディア発表会でも披露した、第三の腕で天井ボードを押さえながら1人でビス止めするデモは、「パナソニックと話す中で、施工現場でそのような大変さがあると聞いたことがスタートになりました」と岩田氏は振り返る。「言うなれば個人用のコンシェルジュです。これまでは1人でできなかったことが可能になり、より多くの作業ができるようになります。すると行動も変わってくるでしょう。そこに興味があります」(岩田氏)

(動画)第三の腕とドリルを用いた天井ボードのビス止め作業の様子

現時点ではセンサー付きのアイグラスでロボットアームに指示を出す仕組みを採用している。岩田氏が「人間にとっては何のことはない動作でも、ロボットで再現するのは非常に難しい」と話すように、これから細かい部分を磨き上げていく必要がある。そこでパナソニックが制御技術や機械要素技術を提供し、早稲田大学の知恵と合わせることでより洗練された身体拡張ロボットを作っていきたいとする。今後の研究次第では、音声・画像認識や人工知能などを盛り込み、よりインテリジェントかつスマートな操作を目指す。岩田氏が理想とするのは「着けていても違和感のない“人機一体”」である。

「実益的な部分に加えて、もう1つの軸として考えているのが未来のライフスタイルです。私の研究室では第三の腕がもたらすメリットをわかりやすい絵にして皆さんに説明しています。ドラえもんではありませんが、“あったらいいな”との思いからすべてが始まる。そこから夢が生まれ、夢に向かって皆が同じ方向を見ることができるのです。同じ方向に進めばパワーが生まれるし、一体感も出やすい。パナソニックとはお互いにやりたいことが一致していますし、ビジョンも共有しています。ぜひ、ワクワクする未来にしたいですね」(岩田氏)

「第三の腕」と共存する未来の生活空間

このように、周囲を巻き込んで好スタートを切った Robotics Hub。そう遠くない時期に、あっと驚くイノベーションが生まれてくることに期待したい。



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