創業者のDNAを汲む総合的な学びへの支援

KWNを含めた学び支援を担当するパナソニックの奥田晴久氏に2019年のグローバルコンテストの感想を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「コンテストに出場する子どもたちのレベルがとても高くなってきています。先生の指導力も上がってきていると思いますが、課題に対しての捉え方、アプローチ方法にも大人顔負けの部分があったり、技術力も一定の水準に達している。それが表現力の高さにつながっているのではないでしょうか」(奥田氏)

パナソニック株式会社
ブランドコミュニケーション本部
CSR・社会文化部
CSR・企画推進課 学び支援係 主幹
奥田 晴久氏

KWNでは新規参加校から要望があればワークショップ形式の講義を行っている。子どもたちが自分で作れるようにスケジュール、テーマ決め、撮影の重点などを整理したワークシートを配布し、自主性を重んじる。

「小学校の場合は、どれだけ自分たちでテーマに気づけるかがポイント。純粋に自分たちが考える『なぜ、なに』を掘り下げ、何らかのメッセージを発信できれば十分でしょう。森村学園の子どもたちとも話し、本当に楽しんで作っている様子を肌で感じたのはうれしかったです。中高生はやはりそこからもう一歩先、可能であれば課題解決のソリューションの提示や、より奥深いメッセージを表現できているかどうかが評価されますね」(奥田氏)

奥田氏が所属する学び支援係では、KWNと並んで「私の行き方発見プログラム」「オリンピックとパラリンピックを題材とした教育プログラム」等を行う。「私の行き方発見プログラム」はパナソニックの社員の仕事をテーマに、子どもたちの職業観醸成を目的とした4つの教材提供プログラムと社員による出前授業で構成されている。また、「オリンピックとパラリンピックを題材とした教育プログラム」は子どもたちが興味をもつテーマを、オリンピックワールドワイドパートナーとしての映像資源を活かし、先生が自由にアレンジして授業で使える教材提供プログラムになっているというのだ。いずれも子どもたちの資質・能力の底上げに寄与する、新学習指導要領の理念に基づいたキャリア教育プログラムを提供している。

「私の行き方発見プログラムは、中学校を主な対象としたプログラムで、会社や組織を支える人々がどのような役割を担っているのか、仕事をする上で必要な能力や考え方を学びます。出前授業では特に、今の学校での勉強が将来の仕事にどうつながるのか、社員それぞれの経験談を通じて少し先の未来からのバックキャストで社員が語ることによって、子どもたちが将来をより具体的にイメージしやすい構成にこだわっています」(奥田氏)

生徒の主体的な進路選択を支援する私の行き方発見プログラム

オリンピックとパラリンピックを題材とした教育プログラムは、アクティブラーニングの素材として映像を用いる。「2016年のリオデジャネイロ大会の際には、ブラジル(リオデジャネイロ・サンパウロ周辺の学校)でも展開いたしました。新学習指導要領でどのように教えていけばよいか。それを支援するプログラムになっています。生徒向けのワークシートを配って、映像を見て子どもたちが対話しながら意見を交わすことを前提としているのです」(奥田氏)

生徒が主体的・協働的に学べるよう、思考ツールなどの手法を組み込んだアクティブ・ラーニングを実施

パナソニックの学びへの支援の源流には、創業者である松下幸之助の思想がある。企業は社会の公器である、そうした経営理念のもと、1969年と早い段階から社会貢献活動を重視。学びへの支援はその1つであり、連綿と次代を担う人材育成に力を入れてきた。

「KWN、私の行き方発見プログラム、オリンピックとパラリンピックを題材とした教育プログラム、それぞれの根幹にあるものは、子どもたちの「生きる力」を育むことを目的としています。子どもたちには自分たちの力で新しい世界を切り拓いていってほしい、SDGs(持続可能な開発目標)で謳われている2030年のゴールの実現や、それ以降の未来を見据え、より良い社会づくりに貢献する人材に成長して欲しい、という願いがあります。そのために、これからもさまざまな支援をしていくのが我々の使命でもあると考えています」(奥田氏)

KWNのこれからのテーマはSDGsを意識した「今、つたえたいこと」だ。「子どもジャーナリストの目」でみたSDGsはどんなものだろうか。森村学園ではさっそく取り組んでおり、不破氏はSDGsに対する関心が子どもたちの中で高まってきていると話してくれた。「たぶん、正解がないところに自分たちが飛び込んでいくことが楽しいんでしょう。子どもたちにとって、世界が開けることはすごく楽しいことなんです」と榎本氏。ここで得た学びはきっと、社会に出てからかけがえのない財産となるはずだ。

森村学園の子どもたちの制作する様子。4カ月の制作期間の中で、プロ制作現場のような雰囲気になっていく