新しい取り組みには同じ姿勢で向かうことが大事

エネファントは、パナソニック製太陽光パネルを東海地区で最も販売した実績を持つ。先に述べたソーラーガレージにもパナソニック製の太陽光パネルを採用している。そうした縁もあり、以前からパナソニックとは密接な関係にあった。

ソーラーガレージに使用されているパナソニック製の太陽光パネル

パナソニックの西川弘記氏は、これまで数々のエネルギー関連プロジェクトに携わってきた人物。この背景から、たじみ電力や働こCARが走り出して後、積極的にエネファントと関わっている。

「磯﨑氏が進める新事業は、RE100(事業運営を再エネで100%調達する国際企業イニシアチブ)やEV100(事業活動で使用する車をEVへとシフトする国際企業イニシアチブ)を考える中で非常に効果的なソリューションになる可能性を秘めています。太陽光エネルギーで発電し、EVを介して消費するような地域内循環システムは日本でも初。その画期的な取り組みに、現場での解決力を持つパナソニックが協力することで少しずつ前進してきていると感じています」(西川氏)

パナソニック株式会社
ライフソリューションズ社
コミュニケーション部 統合プランニング課
兼 スマートシティ推進担当
主任技師
西川 弘記氏

エネファントによる挑戦は、パナソニックにとっても今後の再エネ事業のヒントを与えてくれるものだ。太陽光パネルをはじめとする機器提供のみならず、NTT西日本とともに多治見市を舞台とした自立・分散型エネルギーシステム構築の提案を国に働きかけるなど、適切な助言と支援を行っている。

「まったく新しいことにチャレンジしているわけですから、一緒になって仕組みを作っていかなければなりません。例えば、方言を取り込んだ働こCARは抜群のネーミングですが、『商標の出願は?』とアドバイスしたこともあります。そんな細かいことも重要になってくるし、我々ならば省庁や大企業に働きかけることもできます。単なる製品の売り買いだけではない関係性を築くことが大事。何より、地域に根ざして活性化させたいとの情熱を持ったプレーヤーと出会えたのは幸運でした」(西川氏)

以前、東日本大震災の復興プロジェクトに参加していた西川氏は、災害時におけるEVの活用にも着目している。たじみ電力と県立多治見病院との協定はまさにその嚆矢(こうし)だが、西川氏は「早い段階でEVとソーラーガレージのセットを市役所や地域拠点に配置する動きが出てくるかもしれません」と指摘する。通常時は公共の車として利用し、災害時には緊急電源として利用する。災害のためだけに高コストの非常用発電機を導入する必要もなくなるため、メリットは大きい。こうした観点からも、たじみ電力の取り組みは全国的に注目を集めるだろうと語る。

太陽光発電設備の余剰電力を、EV充電用の電力として効率よく活用している

磯﨑氏は「パナソニックに協力してもらうことで、我々のようなベンチャーはきちんと走れるようになった。並行して同じ方向に走ってくれることには感謝しかありません」と話す。そもそも、数多の太陽光パネルメーカーがある中で磯﨑氏がパナソニックを選ぶようになったのは、「二股ソケットに始まり、小さな電気部品を100年にわたって作ってきた信頼感がある。パネルの性能が良質なことに加え、電気工事店としてはその信頼感が大きかったから」だという。お互いの固い信頼関係によって、エネルギーの未来、そのあるべき姿が地方都市から花開こうとしている。

<2020.12追記>
2020年9月26日、エネファントはこの地産地消サイクルの新たな展開として20年間電気代が無料の家「フリーエネルギーハウス」を発表した。屋根の上に太陽光発電システムを設置し、エネルギーを効率的に管理することで、買う電力を最低限に抑え余剰電力を売電し設備費と利益を確保するビジネルモデルだ。20年間メンテナンス料を含む基本料金以外、電気代は一切かからないという。