<この記事を要約すると>

  • 2020年3月、関西都市圏の渋滞緩和と効率的な物流を実現する待望の大和川線が開通した
  • ほぼ地下トンネルとなるこの路線で、パナソニックはトンネル換気設備全体の設計・施工含め大型ジェットファン78台、電気集塵機64台、排風機14台を納入
  • パナソニックのイメージからは意外とも思えるトンネル換気システム事業だが、実は半世紀以上の歴史を持ち、国内でも確固たる地位を築いている

2020年3月に全線開通した、大阪府堺市と松原市を結ぶ全長約10kmの「大和川線」。この大和川線のトンネル換気工事を担ったのがパナソニックだ。旅客機エンジンのような大型ジェットファン78台、電気集塵機64台、排風機14台とパナソニックとしても過去最高の納入台数を誇る今回のプロジェクト。本記事では大和川線トンネル換気工事に関わる阪神高速道路、パナソニック双方の担当者にこのプロジェクトについて話を聞いた。

大阪をぐるりと囲む環状高速、東西の大動脈がついに開通

いまから19年前の平成13年(2001年)8月、「大阪都市再生環状道路」が都市再生プロジェクトとして設定された。その名の通り、大阪府の半分を高速道路ネットワークによってぐるりと結ぶ計画であり、つながっていない“ミッシングリンク”を解消することが狙いだ。

もともと大阪府の都市高速網は府内中心部の環状線を核としており、そこから外側へと放射状に伸びている。そのため交通は環状線に集中する形となり、日常的に渋滞に悩まされてきた。そこで渋滞・混雑緩和を目的として路線を新設、延伸、接続して、全長約60kmの大環状高速網を整備することにした。

2020年3月29日16時には、その最南部に阪神高速6号大和川線が全線開通した。大和川線は大阪府堺市の三宝ジャンクション(以下JCT)と松原市の松原JCTの間、全長9.7kmを結ぶ。大阪市と堺市の境界を流れる大和川に沿って東西を貫くこの路線は、まさに“待望の道路”なのだという。なぜなら当該地域はJR、南海電鉄、大阪メトロなど南北の鉄道網は充実しているものの、東西方向の一般道は一部幹線道路に集中しており、生活道路の渋滞が慢性化しているからだ。現状、堺市の堺浜から松原JCTまでの一般道経由による所要時間は約45分だが、大和川線の開通によって約16分となり、およそ3分の1へと大幅に短縮される。

臨海部~内陸部間のアクセス向上による時間短縮効果が期待される

また、大和川線が西名阪自動車道と接続することで奈良方面からダイレクトに大阪湾臨海部や内陸部にアクセスできるようになる。これまで松原JCTから高速を利用する場合、南北方向に大きく迂回せざるを得なかった。西名阪自動車道の沿道には製造業が多くあることから、今回の開通による物流の効率化が期待されている。加えて災害時の代替道路としての役割も果たす。

大和川線はそのほとんどが地下を走るトンネルなのだが、ここにパナソニックの技術が深く関わっている。トンネル内の換気に欠かせないジェットファン、電気集塵(しゅうじん)機、排風機を一手に提供しているのだ。これほど大がかりなインフラにパナソニックが食い込んでいることに驚く読者もいることだろう。以下、“意外”とも思える同社の環境エンジニアリング事業を紹介する。