<この記事を要約すると>

  • 2020年11月にパナソニックが開催したオンラインセミナー「『カーボンニュートラル』の取り組み」の様子を紹介
  • セミナーではパナソニック環境ビジョン2050の概要や、カーボンニュートラルによるCO2ゼロ化のチャレンジについて関係者が発表
  • 後半は4つのテーマに沿って実施されたパネルディスカッションを通し、パナソニックの先進的な取り組みがさらに掘り下げられた
  • 数十年後の豊かな未来に向けたパナソニックの指針が示された

SDGs(持続可能な開発目標)に欠かせない脱炭素社会の実現。その手段として「カーボンニュートラル」を掲げる企業が増えている。かねてより真摯に環境と向き合ってきたパナソニックでは、世界4カ国の工場でCO2ゼロ化を達成し、東京・有明の旗艦ショウルームでも非製造拠点として同社初のCO2ゼロ化を実現した。21世紀を生きる企業にとって避けては通れない課題を、いかにしてパナソニックは乗り越えていくのか。その取り組みについて、関係者がオンラインセミナーで語った。

世界4カ国の工場でCO2ゼロ化を実現

日本企業の中でも、環境取り組みに対する長い歴史を持つことで知られるパナソニック。背景には、創業者である松下幸之助氏の「企業は社会の公器」との思いがある。産業活動が自然を破壊し、人間の幸せを損なうことは本末転倒である――この哲学は脈々と受け継がれており、2017年6月には「パナソニック環境ビジョン2050」を策定。よりよい暮らしと持続可能な地球環境の両立に向け、“使うエネルギー<創るエネルギー”をキーメッセージとした。

こうした理念のもと、パナソニックではSDGs達成に向けてさまざまな取り組みを継続している。2020年11月に開催したオンラインセミナー「『カーボンニュートラル』の取り組み」では、パナソニック環境ビジョン2050の概要や、カーボンニュートラルによるCO2ゼロ化のチャレンジについて関係者が発表した。

最初に、パナソニックの楠本正治氏がパナソニック環境ビジョン2050について「本ビジョンで対象とするのは生産活動のみならず、調達や物流、お客様のもとでの当社製品の使用まですべてを含んだもの」と説明。2019年時点では使うエネルギーと創るエネルギーの割合は9:1だが、2050年までにこの比率を逆転することを目指す。

パナソニック株式会社
品質・環境本部
環境経営推進部
部長
楠本 正治 氏

パナソニックではグローバルで年間約1.1億トンのCO2を排出している。これは日本全体の排出量と比較しておよそ1割に相当するが、その大半は販売した製品の使用が占める。この部分を減らすために生産側で使うエネルギーを減らし、創るエネルギーを拡大する施策を進めている。中でも、使うエネルギーの削減手段としてCO2ゼロの工場づくりを推進している。具体的には照明のLED化、太陽光発電システムの導入、蓄エネルギー機器の活用、クリーンエネルギーの利用拡大、FEMS(工場エネルギー管理システム)の活用などを実践した。

日本国内のCO2排出量約1割を占めるパナソニックのCO2削減計画

その結果、2018年度には日本、ベルギー、ブラジル、2019年度にはコスタリカと世界4カ国でCO2ゼロ工場を実現した。日本の工場は兵庫県加東市の家電リサイクル拠点「パナソニック エコテクノロジーセンター」(PETEC)である。「コスタリカのパナソニック セントロアメリカーナは現場の着実な取り組みからスタートしました。最終的にはコスタリカ政府や国営電力会社との協業にまで発展し、再生可能エネルギーの供給やソーラーパネルの提供を受けるまでスケールアップしています」(楠本氏)

続いて、パナソニックの池之内章氏が、東京・有明の旗艦ショウルーム「パナソニックセンター東京」におけるCO2ゼロ化の取り組みについて語った。

パナソニック株式会社
ブランド戦略本部
パナソニックセンター東京
所長
池之内 章 氏

環境省では、原材料調達、製造、物流、販売、廃棄など、一連の流れから発生するCO2を始めとする温室効果ガス排出量を「サプライチェーン排出量」と定義している。サプライチェーン排出量は自社による直接排出のScope1、他社から供給された電力使用などによる間接排出のScope2、それ以外のScope3から構成され、さらにScope3は従業員の通勤なども含む15のカテゴリーに分類される。

パナソニックセンター東京が目標とするCO2ゼロショウルームは、Scope1+2とScope3の2段階の取り組みで進めている。まずScope1+2では、施設でのエネルギー使用によるCO2排出を抑制する。2018~2020年度にかけて、LED照明への変更、遮熱フィルムを貼るといった省エネの推進により、約10%のCO2削減を図った。

CO2ゼロショウルームにおけるCO2排出抑制イメージ

さらには調達エネルギーのCO2ゼロ化に向け、バイオマス発電電力への100%切り替え、「J-クレジット制度」活用による地域熱供給に伴うCO2排出のカーボン・オフセットを導入。今後はクリーンエネルギーの活用として純水素型燃料電池の実証運転を2021年1月から開始、CO2排出をゼロに近づけていく。ここでは2022年以降に発売予定の700Wタイプの試験機を実証導入することでクリーンエネルギーを生み出し、ショウルーム運営にも活用する予定だ。

純水素型燃料電池の設置イメージ写真

Scope3で取り組むのはショウルームの運営改革、従業員の働き方改革だ。具体的な一例として移動によるCO2排出の削減に効果を上げている。

来場者、従業員の両面で移動の削減を推進

「昨年は基本的にお客様にショウルームにお越しいただき、従業員もここに出勤して運営していましたが、昨今はコロナ禍によるオンライン化が加速したこともあり、3割をオンラインイベントとしました。あわせて従業員も5割を在宅勤務に切り替え、移動による排出を抑制。合計で約68トンのCO2削減に成功しています」(池之内氏)

CO2ゼロショウルームを実現した東京・有明の「パナソニックセンター東京」