最新のテクノロジーを駆使することで、身体的ハンデのある人を含め、誰もが一緒にスポーツを楽しめる。そんな社会を目指して新たなスポーツを生み出そうという試みがある。「超人スポーツ」だ。さらに横浜ではディー・エヌ・エー(DeNA)が、超人スポーツを取り入れた街づくりに取り組む。スポーツの視点から、未来の1ページを見てみよう。

2020年に向けてオリンピック・パラリンピックの準備が進められている東京において、もう一つ、国際的なスポーツ大会開催の準備が進んでいる。最新のテクノロジーを使って様々な能力を拡張したうえで、人間同士が競い合う「超人スポーツ」の世界大会だ。超人スポーツは、年齢や性別、身体的ハンディキャップの有無などを問わず、誰もが一緒に楽しむために、テクノロジーやポップカルチャーを融合させた新領域のスポーツである。

超人スポーツでは、ロボットパーツやアシストスーツなどを体に装着して腕力や跳躍力などを拡張させ、通常ではありえない能力を得た人間同士が競技したり、AI(人工知能)やVR(仮想現実)、AR(拡張現実)など最新のテクノロジーを活用して仮想空間に入り込み、念力などいろいろな技を繰り出して闘うものである。一例は、ジャンピングシューズのような脚部強化器具とバブルボールのような衝撃吸収体を組み合わせた「バブルジャンパー」を装着し、相手を押し出したり倒したりして競い合う競技。ほかにも、ウエアラブルデバイスとAR技術を使い、手を動かして「かめはめ波」のような波動攻撃をしたり、防御するためのバリヤーを出現させたりして戦う競技など、10種目以上が考案されている(表1)。

Bubble Jumper(バブルジャンパー)
バブルボールとジャンピングシューズを装着してぶつかり合う、相撲風スポーツ
CarryOtto(キャリオット)
古代ローマ戦車競技の機動力であった「馬」を「モーターデバイス」に置き換え、疾走するデバイスを手綱でコントロールしながら競走・競技する人機一体のスポーツ
Hover Crosse(ホバークロス)
重心移動によって滑らかに動きまわるHover Traxに乗り、ゴール得点を競う1対1の競技
HADO(ハドー)
モーションセンサーにより腕の動きを認識し、ヘッドマウントディスプレイで“魔法”を表示。その魔法を自らの手で放っているかのような感覚で他のプレーヤーと戦うスポーツゲーム
HADO Kart(ハドーカート)
HADOとハンドル型電動車椅子Luggieを組み合わせた、対戦型ARモータースポーツ
(表1)超人スポーツの競技の一部。超人スポーツ協会より写真を流用。

単に人が機械を身に着けるのではなく、「人機一体」となって機械を自由自在に操る。このことから、人と車が人機一体となって競うスポーツであるF1(フォーミュラ1)にも例えられる。F1は第1次産業革命(機械化)と第2次産業革命(電力活用)が生み出した、自動車産業の最先端技術を結集して作られたモータースポーツである。これに対して超人スポーツは、第3次産業革命(ITの活用)と、さらにこれから起きようとしている第4次産業革命(AIやロボティクス、IoTの活用)が生み出すスポーツといえる。

現在、経済産業省は、5.5兆円とされるスポーツ関連産業の市場規模を2025年までに15兆円に拡大し、スポーツ産業を基幹産業に成長させようとしている。ただ、10年間で市場規模を3倍まで成長させるには、既存のスポーツを活性化するだけでは難しい。新しくスポーツを創造することが必要になってくる。超人スポーツはそういった面からも、各方面から注目を集めている。F1から様々なビジネスが生まれたように、超人スポーツからも様々なビジネスが生まれることが期待される。超人スポーツを推進する超人スポーツ協会によれば、既に不動産開発会社や工事用建機メーカーなど、一見するとスポーツとは縁遠い業界からもいろいろと声を掛けられているという。