九州本土の西、東シナ海に140あまりの島々で構成される五島列島。ここの長崎県五島市で、ドローン(無人航空機)などを使った無人物流の実証実験が行われた。その立役者が香川県高松市の技術ベンチャー企業・かもめやだ。同社の技術の特徴は、ドローンや無人輸送艇、無人輸送台車、そして気象観測システムを組み合わせ、狭い域内に様々な物理環境がある日本にマッチした仕組みにしたこと。陸・海・空の無人輸送機3種類を組み合わせた国産の無人物流プラットフォームは、日本の未来をどう変えていくのか。かもめやの代表取締役を務める小野正人さんに話を聞いた。

2019年3月、長崎県五島市の奈留島と前島の間で、ドローン(無人航空機)や無人輸送艇などを使った離島間無人物流の実証実験が行われた。舞台となった五島市は、東シナ海に大小140あまりの島々が約80㎞にわたって連なる五島列島のうち、南西側の11の有人島と52の無人島からなる自治体である。人口約3万6000人の大半は、最も大きな福江島に集中していて、次いで奈留島に約2000人、そのほかの有人島には1人から300人ほどが暮らしている。将来的に五島市ではこうした人口の少ない離島の間に効率の良い物流網を構築することをめざしており、そのために今回の実証実験は行われた。
この無人物流システムにおいて要となるドローン、無人輸送艇や無人輸送台車、そして気象観測システムのオペレーションを担当したのが、香川県高松市に本拠を置く技術ベンチャー企業・かもめやである。



会社づとめを辞めた離島暮らしで課題を発見
代表取締役を務める小野正人さんがドローンによる離島間物資輸送を構想したのは2014年のことだったという。当時はまだドローンという言葉さえ一般にはほとんど知られていなかったが、翌2015年には瀬戸内海の離島で日本初となるドローンによる海上輸送にも成功する。いわば日本におけるドローン物流の草分け的存在といってもいい。
