なぜ今フェムテックなのか?

フェムテックの盛り上がりの背景には、「#Me Too」運動などをはじめとして、これまでタブー視されてきた女性が抱えていた課題や問題が可視化され、声を上げやすくなったということも影響している。これまで、確たる理由もなく「仕方がない」と諦めてしまっていた、女性にとって当たり前の権利を、女性自身が求めていいのだと。

テクノロジーの進化も追い風になっている。センサーなどのテクノロジーを活用することで、これまで数値化されてこなかった女性の身体的データを手軽に記録することが可能になった。それらのデータを基に研究することで、より多くの課題解決へと繋げることもできるだろう。今後、フェムテック企業と医療機関や研究機関との連携がより重要になってくる。

もちろん、データ取得における問題もある。フェムテックに限らず、身体的データ、とりわけ人に開示したくないデータをトラッキングすることは、データ流出や意図せず活用されるリスクもあるということだ。セキュリティをはじめ、消費者自身がデータに対するリテラシーを高める必要も出てくるだろう。

女性の社会進出に寄与、男性や企業にも変化を促す

これらフェムテックの広がりは、女性の社会進出に大きく寄与する。

バイエル薬品の調査によると、月経困難症や月経前症候群(PMS)などよる経済的損失額は6828億円とされている。これらの課題を解決するだけでも経済効果は大きいのではないだろうか。

フェムテックという言葉だけを聞くと、女性だけのものであると感じてしまうかもしれないがそうではない。例えば、生理があるのは女性だけではない。心と体の性が異なるトランスジェンダーの人々や、自身の性が従来の文化に当てはまらないジェンダー・ノンコンフォーミングの人々など、「女性」ではない人にも生理はあるのだ。生理の期間、自分の性自認とは異なる違和感や不快感を身体にもつこともある。そのため、先述した生理ブランドなどは「生理がある全ての人へ」と謳っている。

妊活においても、女性だけの問題ではないだろう。WHO(世界保健機関)によると、不妊の原因の約半数は男性にもあると言われている。同性パートナーとの妊活もありえる。フェムテックが解決する課題は、決して女性だけのものではないのだ。

日本国内においては、ジェンダー・ギャップ指数が121位とまだまだ低い現状があるが、性差なく暮らし、働くためには、女性の課題を個々人が解決するだけでなく、男性や企業側も理解する必要がある。

フェムテックが市場として広がり、女性が抱えてきた課題が認知されることは、性差の溝を埋め、結果として誰もが自分らしく生活する社会の形成に寄与するはずだ。