ピリカは昨今話題になることが多い海洋プラスチック問題をはじめ、ゴミに関する様々な問題を解決するための独自サービスを提供している企業だ。サービスを個人には無償で、企業や行政には有償で提供する、といった方法を採ることで、ボランティア活動を支援すると同時にビジネスとして成り立たせることに成功している。2020年からはマイクロプラスチック調査の手法を外部に提供する取り組みもスタートした。ゴミ問題の現状や同社の取り組み、今後の展開などについて、小嶌不二夫代表取締役に聞いた。

──ピリカではどのように海洋プラスチック問題に取り組んでいるのでしょうか。

小嶌氏(以下、敬称略):海洋プラスチック問題や海洋ゴミ問題、ゴミの自然界流出問題などいろいろな呼び方がありますが、どれも根っこは同じです。人間が社会活動を行うと必ずゴミが発生します。それらのゴミは通常は回収し、燃やしたり埋め立てに使ったりといった形で処理して、自然界に大きな影響がないようにします。ですが、そのような形にならず、自然界に流出してしまうものも残念ながらあります。

海洋プラスチックの問題は昨今大きく扱われています。同じゴミでも、流木や草木であればいずれ分解されます。しかしプラスチックは分解されず、海にたまってしまいます。これがどんどん増え続けていまして、このままだと2050年までには海を漂う魚の重量を超えると言われています。

小嶌不二夫(こじま・ふじお)。株式会社/一般社団法人ピリカ代表。富山生まれ、神戸育ち。大阪府大(機械工学)卒。京大院(エネルギー科学)を半年で休学し、世界を放浪。道中に訪れた全ての国で大きな問題となりつつあった「ごみの自然界流出問題」の解決を目指し、2011年に株式会社ピリカを創業。ピリカはアイヌ語で「美しい」を意味する。世界中から1.5億個のごみを回収したごみ拾いSNS「ピリカ」、AIごみ分布調査システム「タカノメ」、マイクロプラスチック調査装置「アルバトロス」等の新規製品を生み出し、全てを事業化。ごみの自然界流出問題の根本解決に取り組む。2013年にeco summit in Berlinで金賞、2018年に環境大臣賞を受賞(写真提供:ピリカ)

「魚と同じくらいの量のプラスチックが浮いている状態になるのかな」とイメージされるかもしれませんが、そうではありません。プラスチックは非常に軽いので、仮に一般的な水槽に500グラムの魚とビニール袋を入れると、水槽がビニール袋でいっぱいになって魚が泳げないような状態になります。実際に海がこのような状態になった時に、生態系にどれほど重大な影響を及ぼすのかを予測できる人は現状ではいません。

海がこのような状態になってしまってから、プラスチックだけを取り除くことはできません。網をかけると魚やプランクトンも一緒に取れてしまいます。このように非常に大きな問題になる可能性があり、かつ一線を越えると取り返しがつかなくなる不可逆な問題は、国際社会でも重大な課題として認識されます。気候変動などがそうですね。どこまでの問題になるか現時点では分からないけれど、一線を超えるとまずいから今のうちからできる対策をしよう、という予防原則と呼ばれる考え方が適用されます。

──ピリカが展開しているサービスは、ゴミ拾いSNS「ピリカ」など、内陸のゴミに関するものもあります。事業紹介動画などで「海洋プラスチック問題に取り組む企業」といった文言があったのですが、内陸でのゴミに関するサービスは海洋プラスチック問題にどのように関係しているのでしょうか。

小嶌:一般的に海洋プラスチック問題と呼ばれることが増えてきたのですが、我々はふだん、自分たちが扱っている問題をゴミの自然界流出問題と呼んでいます。我々は海に流出するプラスチックだけにこだわっていませんし、道路や山に流出するものを含めゴミの流出自体が問題だと考えています。

ただ、近年は特に海洋プラスチックが問題視されることが多く、そこからご説明した方がご理解いただきやすいかなと思いますので、海洋プラスチック問題という言葉を使うことも増えているのです。