サイクルシェア事業のその先にあるもの
NTTドコモとそのグループ会社であるドコモ・バイクシェア。そもそも通信事業者であるNTTドコモが「サイクルシェア」事業に進出した狙いはどのようなところにあるのだろう?
この問いに対する坪谷社長の説明は次の通りだ。

「NTTドコモは、社会インフラを担ってきましたが、それは社会に貢献するという理念の元になりたっています。そういう観点から見ると、まず『サイクルシェア』が環境に優しい取組みだということが挙げられます。また、我々が提供しているサービスは、自転車とモバイルを融合させ、自転車自体を管理するというシェアリングシステムです。やはりそこは、元々通信事業者ですので、IoT――モノとモノを結びつけて何らかの新しいモバイルソリューションというものを世の中に示していくという目的もあります」
そして、その視線は更なる未来を見据えているようだ。
「今後、自転車や自動車だけでなく、様々なモビリティが出てくるでしょう。そんな中、『サイクルシェア』のみならず、『モビリティシェア』というサービスを通じて、様々な企業様と一緒に市場を作っていきたい。また、シェアリング事業を行う我々がサービスを通じて培ったノウハウや技術を、ITS(高度道路交通システム)の構築などにも活かしていきたいと考えています」
一般生活者にとっても、「サイクルシェア」普及は歓迎したいところである。交通渋滞の解消や環境保全はもちろん、自転車に乗ることには、リフレッシュ効果やロコモティブシンドローム予防効果などがあり、心身ともに健康に寄与するのは言うまでもない。さらに首都圏だけでなく、地方都市にもこのサービスが広がれば、雇用や産業の創出につながる可能性も見逃せない。
鉄道、バスに次ぐ第3の公共交通機関として、未来の近距離交通手段の主役に躍り出るポテンシャルを秘めた「サイクルシェア」。その動向には今後ますます注目が集まりそうだ。



