東日本大震災を機に、急速に高まっている持続可能なエネルギーへの注目。その一つである水素を活用した家庭用燃料電池、燃料電池車の普及も徐々に進んでいる。CO2を排出しないクリーンなエネルギーとして注目される、水素を基盤としたライフスタイルが実現する日も近いかもしれない。今回は、官民連携によって水素タウン実現を図る静岡市の事例を紹介しよう。

「水素ステーション」を核に水素供給体制を整える

再生可能なエネルギーで環境負荷が少なく、エネルギー自給率の向上、地域産業の活性化なども期待できる水素エネルギーへの注目度は世界的に高まっている。

なかでも日本は、水素先進国としての期待値が大きい。4月11日に行われた政府の再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議では、安倍晋三首相が「世界に先駆けて水素社会を実現させる」と述べ、年内に基本戦略を策定する方針を明らかにするなど、太陽光や風力を含め化石燃料に代わる再生可能なエネルギーの導入を推進する動きはますます加速している。

日本各地で水素エネルギーに関する実証が行なわれるなかで、静岡市が静岡ガス、パナソニックと連携した、「静岡型水素タウン」実現に向けた官民一体の取り組みが注目されている。

静岡市は、防災機能の強化、環境対策、産業振興といった観点から水素エネルギーの利活用をサポートし、住民に向けて水素エネルギーの理解を促進。

静岡ガスが建設した「水素ステーション」(2017年3月竣工)を水素供給体制の核とし、そこで燃料電池自動車(FCV)、燃料電池バイクへの水素供給を行いつつ、パナソニックが開発中の純水素型燃料電池(水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する)の実証実験を進めていく。

静岡市駿河区に開設された県内初の水素ステーション
静岡ガス 執行役員 中井俊裕氏

静岡ガスとパナソニックの協業は、2008年から。都市ガスから作った水素を活用する家庭用燃料電池「エネファーム」の普及拡大のため、実証事業を行うところからスタートした。その後、マンションの各住戸間で「エネファーム」による電力を共有し、効率的に活用するシステムを開発するなど、水素エネルギーを利活用する先進的な取り組みを行っている。

「2008年に燃料電池事業に初めて携わったとき、水素は将来生活に欠かせないものになると思った。最近はその可能性がさらに身近になっていることを感じる。水素ステーションの稼働を通してCO2の制約を受けないまちづくりを実現していくことは、静岡市としての魅力につながると考えている」

静岡ガス執行役員、中井俊裕氏は水素エネルギーへの展望をこう話す。