“水素のトップランナー”としてガス会社の強みを生かす

「水素ステーション」は、「エネファーム」でも使われている改質技術を使い、都市ガスから水素製造機で水素を取り出し、圧縮機、蓄圧器を通して燃料電池自動車(FCV)、燃料電池バイクに水素を供給するほか、取り出した水素を純水素燃料電池で発電し、ステーション内に電力を供給する流れを作っている。

純水素燃料電池に利用される水素は、水素製造装置を起動・停止する際に発生する水素(FCVなどに供給できる基準を満たしていない水素)を使い、水素を有効活用していることも特徴。燃料供給を行う静岡ガスと、1999年から水素エネルギーにおけるプロジェクトを立ち上げ、水素の製造、貯蔵技術など様々な技術開発に取り組んできたパナソニックのパートナーシップによって実現したものだ。

水素ステーション内で実証実験されている、パナソニックの純水素燃料電池。水素を直接投入して発電する燃料電池はCO2が発生せず、エネルギー効率が高い。

「水素を安定的に供給できることが、100年以上気体燃料に携わり、メンテナンスのノウハウも持っている当社の強み。ただ、インフラ事業はネットワークが重要となるため、将来的には当社だけが突出するのではなく、さまざまな事業者と連携しながら水素事業の可能性を広げていきたいと考えている」と中井氏は話す。

また、パナソニックでは今回の実証実験を通して業務用も含めた様々な用途での水素活用の方法を検討している。

「環境に優しくエネルギーを賢く使うスマートエネルギー社会を創ることが私たちの使命。水素がその鍵を握る」。そう話すのは、パナソニック アプライアンス社 スマートエネルギーシステム事業部長の公門恒夫氏だ。

パナソニック アプライアンス社 スマートエネルギーシステム 事業部長 公門恒夫氏
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水素の製造、貯蔵、利用のバリューチェーン全体の研究を本格化するパナソニック。水素製造の低コスト化と高密度且つ安価な貯蔵技術を前進させていく

「水素を使う技術は、エネファームの技術をベースに純水素燃料電池として確立しつつある。水素を作る・貯める技術は、当社も研究しているが、インフラや都市整備と合わせた検討が必要になる。自治体やエネルギー事業者様との連携は今後益々重要になる」と公門氏は話す。

水素をクリーンなエネルギーとして活用する水素社会の姿はどういったものなのか?

パナソニック アプライアンス社 経営企画部 主幹 武部安男氏

1999年のプロジェクトスタート時から水素と向き合ってきた同社の経営企画部 主幹、武部安男氏は、将来的な水素社会の姿として、「太陽光などの不安定な再生可能なエネルギーを水素に換えて貯めることで、再生可能なエネルギーを最大限活用する。水素は表に出ない縁の下の力持ちでいい」と話す。

そんな水素社会を作るチャレンジが一見異色とも思えるパートナーシップの下で始まっている。

エネルギーは使う時代から「作る」時代へ。

分野や領域は異なっても、同じ未来を見据えて協働することで、世界に先駆けた「静岡型水素タウン」が水素エネルギーの可能性を広げていくことは間違いない。