2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、日本のスポーツ市場を活性化すると注目されるのが、パナソニックと電通が取り組むプレミアム・スポーツコンテンツ事業。カギを握るのは「映像機器」と「画像解析技術」。テレビ朝日との3社コラボで実現した水泳競技中継における「スイマートラッキングシステム」は、スポーツの新たな楽しみ方を切り拓いた最新の好事例。新たな手法で競技の感動や驚きを高め、アスリートの能力向上サポートの1歩を踏み出した3社に想いと今後のビジョンを語ってもらった。

さらに楽しく、感動的に! スポーツの新たな楽しみ方を提案

「スポーツにおいて今までになかった新しい感動体験、驚きのコンテンツを生み出し、さらに選手のパフォーマンス向上を当社のテクノロジーでサポートしていく。私どもは、この3つのファクターでスポーツとテクノロジーを融合した新たなソリューションを提供し、スポーツの新たな楽しみ方、可能性を広げたいと考えています」。

パナソニック株式会社
東京オリンピック・パラリンピック推進本部 事業開発部 事業推進課 課長  門田賢治氏

パナソニック株式会社 東京オリンピック・パラリンピック推進本部 事業開発部 事業推進課 課長の門田賢治氏は、こう話す。

根底にあるのは、欧米に比べてまだまだ規模が小さい日本のスポーツ市場の活性化を図ること。2020年に控えている東京オリンピック・パラリンピック開催を大きな目標地点として、「スポーツ」をキーワードに、パナソニックは電通とともにプレミアム・スポーツコンテンツ事業の開発に取り組んでいる。

中でも核となるのが、同社の画像解析の技術。

同社では、セキュリティ関連の技術として画像解析のノウハウを持っていた。それを、新たな視点でスポーツのコンテンツに活用したのが、テレビ朝日とともに開発を続けてきた「スイマートラッキングシステム」だ。

「スイマートラッキングシステム」は、水泳競技において競技中のリアルな泳速データを、選手の動きとともに視覚的に提供するシステム。

画像解析用のカメラで捉えた映像をパナソニック側のシステムで解析し、選手の位置を自動で捉えて移動距離を算出、リアルタイムの泳速を導き出す。さらに、そのデータを画角センサー付きのカメラで捉えたデータとともに、テレビ朝日のバーチャルCGシステムに落とし込むことで、まるで選手の泳ぎを追いかけて“水面に速度表示が張り付いている”かのような映像が完成する。

(図1)スイマートラッキングシステムは、パナソニックの画像解析のノウハウをスポーツコンテンツ応用した画期的なものになっている

視聴者にとっては、これまでにない競技のライブ感やドキドキ、ハラハラするような楽しさが生まれる効果があると同時に、選手にとっても自身のパフォーマンスを高めるために有効なデータになり得るというわけだ。

また、「スイマートラッキングシステム」は、スポーツをエンターテインメントとして伝える立場として、テレビ朝日が抱えていた課題を解決するための一つの答えでもあった。

株式会社テレビ朝日
スポーツ局 スポーツセンター チーフディレクター
松本尚之氏

「水泳中継を見ていて視聴者が一番感じるのは、誰がどこを泳いでいるのか分からず競技が終わってしまうことでしょう。我々は、より幅広い視聴者に水泳を楽しく見せたいという思いがあります。その一つとして、途中経過やスピード感をリアルに伝えることができれば、表現の幅が広がると考えていました」と、株式会社テレビ朝日 スポーツ局 スポーツセンター チーフディレクターの松本尚之氏は話す。

(写真1)実際テレビ朝日で放送された水泳中継では新たな表現により今までなかったコンテンツが実現した

このシステムは、速度を表示することだけでなく選手のレーン番号が明確に分かることも大きなメリットだという。どの選手が今どこを泳いでいるのかという情報を“見える形で”視聴者に伝えることができるため、より幅の広い情報を実況で伝えられる。そのため、コア層だけでなく、これまで水泳にはあまり興味のなかった一般層をも取り込める可能性が出てくる。

スポーツをキーワードとした画像解析のテクノロジーと、映像での表現方法が融合することで、水泳はもちろんのこと様々なスポーツにおけるテレビ観戦の楽しさが広がることは間違いない。