より良い社会づくりのために欠かせないボランティア。普段はもちろん、災害時など、行政や自治体だけでは手の届かないサービスを担い、その存在意義はますます重要度を増している。彼らの活動運営において存続の鍵ともなるマネジメントの課題が、ボランティアの参加者集めだ。アメリカのテキサス州オースティンに、ボランティアをデートの舞台にするというユニークな切り口で「出会い」と「ボランティア活動」の、2つの機会を同時にユーザーに提供する「マッチングアプリ」がある。

大手マッチングアプリ「Tinder」「Bumble」などの普及で、アメリカではいまやオンライン上での出会いは特に珍しいことではなくなった。むしろ、「結婚相手との出会いはバーだった」という方が、マッチングアプリで出会ったというよりも驚かれる時代になっている。統計調査会社のStatistaによると、2018年にアメリカ国内のオンラインデートサービスにアクセスしたユーザー数は3390万人。2022年には3720万人まで増えると予測されている(参考記事)。

市場の拡大にあわせてサービス提供企業の数も増え、登録者のプロフィールやコンテンツの内容も多様化、細分化している。その中で注目を集めているのが、筆者の住むテキサス州オースティン発のマッチングアプリ「Swoovy(スウォービィ)」だ。

リラックスして出会えるボランティアデート

アプリ登録画面で、ボランティアの興味分野を聞かれる

2018年秋にサービスをローンチしたSwoovyの最大の特徴は、ボランティア活動を出会いの場にするというもの。オースティン出身の女性2人が共同創業し、2019年2月時点でユーザー数は3000人を超えた。利用料は無料だ。

ユーザーはアプリをダウンロードして、年齢や性別、身長、興味関心などをプロフィールに入力する。登録が完了し、日々画面に出てくる相手候補を興味の「あり」「なし」でスワイプしていく。ここまでのプロセスは他の多くのマッチングアプリとさほど変わらない。

Swoovyがユニークなのは、その後気に入った相手とマッチングすると、デートでボランティア活動へ繰り出すところだ。同じボランティアに興味のある人を見てデートに誘うこともできる。ボランティアの運営側にとって、その活動内容を一般に周知し、新規のボランティアを募るのは容易なことではない。Swoovyと提携することで、今までボランティアとは無縁だった、または参加のきっかけがなかった人などを取り込むことが可能になった。自分ひとりでは、とボランティアへの参加を躊躇していた人も、誰かと一緒なら心強いと一歩を踏み出す後押しになる場合もあるだろう。

ユーザーにとってもメリットが多い。前述したTinder、Bumbleなど、その多くが恋愛を目的とした1対1の出会いを提供するサービスだが、Swoovyはボランティアの場というグループ単位での出会いであることが他とは大きく異なる。1対1での初対面に比べてプレッシャーも少なく、リラックスした雰囲気で出会えるところが利用者の好評を得ている。そもそもボランティア活動に興味があり、誰かの手助けがしたい、という気持ちがある人との出会いである点もポイントだ。

さらに、初デートがボランティア活動であれば経済的なメリットもある。大手マッチングサイト「Match.com」の2018年度の報告書によると、テキサス州の初デートでの出費額平均は110.99ドル(参考記事)。決して安くはない投資額であり、運命の相手に出会えればハッピーだが、そううまくいくとは限らないのは誰もが知るところ。Swoovyはデートがボランティアであるため、たとえ恋愛がそこで見つからなくとも、誰かのため、社会のためになることをしたという満足感があり、費やした時間やアクション自体も無駄に感じないのだ。