さらに、イタリアでは毎年2月5日が「食品ロス防止デー」となっているが、この日になるとコルディレッティという団体がスペーザ・ソスペーザを行っている。コルディレッティ(地産地消連合)とは「生産者から直接」という意味の名前をもつ団体で、農家から直接届いた農産物を販売している。コルディレッティが運営する市場でスペーザ・ソスペーザを実施し、消費者が購入して寄付した農産物や、団体への寄付金で購入された農産物を生活困窮者へ配布している。スーパーが行うスペーザ・ソスペーザとの違いは、やはり新鮮な農産物に加えてチーズやハムなども配布されることだろう。

コルディレッティのスペーザ・ソスペーザで集まった新鮮な農産物とそれを回収するボランティアの様子(写真提供:コルディレッティ)
コルディレッティのスペーザ・ソスペーザで集まった新鮮な農産物とそれを回収するボランティアの様子(写真提供:コルディレッティ)

相互扶助の精神が人々の尊厳を守り、さらに食品ロス削減へとつながる

Last Minute Marketが発表した2020年度報告書によると、イタリアの家庭では週に平均4.91ユーロ相当の食品をごみ箱に捨て、それは合計65億ユーロにあたるという。さらに農場から販売店や飲食店までのサプライチェーン全体を考慮すると、この数字は大幅に上昇する。また、ミラノ工科大学が2015年に行った調査によると、イタリアでは毎年約560万トンの食品ロスが発生しているのだという。

2016年に発足したガッダ法(食品ロス削減推進法)により、スーパーでは消費期限が迫った食品に対して積極的な販売促進を行っているだけでなく、販売店、飲食店ともに生活支援を必要とする人々のため、細心の注意を払いながら廃棄されるはずの余剰食品を慈善団体へ寄付している。

2020年、Caritas Italianaへ寄付された食品量は大幅に増加しており、その大半は販売されなかった余剰食品から生まれたものだ。その増加率は365%にも上っており、寄付が増えたことだけでなく、消費可能でありながら処分されるはずだった食品がどれほど多いかにも注目するべきだろう。

買いたくても買えない人、食べたくても食べられない人は、私たちが想像するよりも多く存在しており、コロナ禍でその数は増え続けている。消費期限がくる前の新鮮な余剰食品は処分するのではなく、必要とする人へ届けられるべきだ。今、私たちが経験している困難な状況ほどコミュニティ精神の大切さが問われており、イタリアの伝統から生まれたスペーザ・ソスペーザはそれを十分に発揮しているのではないだろうか。

この記事は、TNCが主宰する世界70ヵ国100地域に暮らす約600人の日本人女性ネットワーク「ライフスタイル・リサーチャー」からの情報をもとに制作しています。日本と海外の価値を結ぶさまざまな企画・マーケティング分野で活躍しています。