昨今、ジェンダーニュートラルやジェンダーフリー、ジェンダーレスというキーワードをよく見聞きするようになった。それぞれ違いがわかりにくいが、ジェンダーニュートラルは性やジェンダーにしばられない中立的な考え方を指すのに対し、ジェンダーレスは生物学的な性差をなくす考え方を指す。ジェンダーフリーはジェンダーニュートラルと同義語だ。

 ジェンダーニュートラルな取り組みは、イギリスでも話題になっている。イギリスにおけるレコード大賞のような存在の音楽番組Brit Awardsは、今年から性別ごとのカテゴリーを廃止することを発表。英国航空(BA)や英鉄道会社LNERは、紳士の国イギリスならではの機内アナウンス“Ladies and gentleman”という呼びかけがノンバイナリー(※)に対する差別に当たるとして、代わりに“Everyone”などに変更することを発表。高級スーパーチェーンM&Sは、店員の名札の下に、本人が希望する三人称代名詞(he/him/his、あるいはshe/her/her)を添えて、買い物客や同僚に見た目でなく、名札の表記で判断することを促している。

 今回は、ジェンダーに対する社会的価値観が変化しているイギリスから、ジェンダーニュートラルなファッションを提供するインディーブランドRiley Studio(ライリースタジオ)の取り組みを現地リサーチャーがレポートする。

※ノンバイナリー 身体的性別に関わらず、自身の性自認や性認識をこれまでの男女という枠組みに当てはめない考え方

性別を問わない服づくりとノンバイナリーモデルの起用

カナダ出身の英国人女性でクリエイティブディレクターを務めるRiley Uggla氏が立ち上げたRiley Studioは、自然な風合いのオフホワイトやベージュ、ブラウン、グレーなど、全体的に優しい雰囲気のファッションを届けるブランド。近年、大手メゾンがジェンダーニュートラルを意識して発表したエッジィで奇抜なデザインとは一線を画している。

同ブランドでは、男女モデルに加えてノンバイナリーのモデルを起用。アイテムのラインナップは、オーバーサイズのスウェットパンツ、リサイクルカシミアのニット、英国産ウールのニット帽、フランネル素材のチェックシャツなどで、性別を問わず着こなせるアイテムが揃う。

柔らかい風合いのアイテムたち(写真引用元:Riley Studioのホームページ、以下同)
柔らかい風合いのアイテムたち(写真引用元:Riley Studioのホームページ、以下同)
ノンバイナリーのモデルFaye Fillingham氏
ノンバイナリーのモデルFaye Fillingham氏

幼児期から育むジェンダーニュートラルな意識

また、幼児期から性的志向を誘導したり押し付けたりしないという考えに基づいて、ジェンダーニュートラルな子ども服ブランドLittle Riley Studioもスタート。子どものうちから、ジェンダーニュートラルなファッションに触れることで、「Sharing is caring(共有することは優しさ)」、「Free Expression(表現の自由)」などの概念が自然に身につくという。

幼児期から先入観を植え付けないアプローチ
幼児期から先入観を植え付けないアプローチ

「母親として、息子と環境の両方を守るために、常に天然素材のものを買うようにしていましたが、子どもブランドを立ち上げるのに際して、Riley Studioと同じ理念の(ジェンダーニュートラルな)服づくりをしたいと考えました」と、一児の母でもあるRiley Uggla氏は、公式サイトのブログで語っている。

Riley Studio創始者/クリエイティブディレクター Riley Uggla氏
Riley Studio創始者/クリエイティブディレクター Riley Uggla氏