信仰アプリの決定版「Bhakti」が話題

このように様々な宗教関連アプリが存在するインドで、それらの機能をすべて備えた信仰アプリの決定版とも呼べる「Bhakti」というアプリがShemaroo Entertainmentから登場し、注目を集めている(AppStoreへのリンクPlayストアへのリンク)。

Bhaktiは、利用者が自宅や外出先からでも、スマートフォン一つで寺院で体験するものに近い本物の祈り体験を提供することを目的とした、ヒンドゥー教徒向けの信仰アプリだ。このアプリでは、各種讃歌や物語の紹介、星座占いやヒンドゥー暦のチェックなどの基本的なコンテンツに限らず、インド全土の様々な寺院で朝夕に行われている祈りの風景をライブストリーミングや動画で配信したり、有名な教祖の談話へもアクセスを可能にしたりしている。また、神様に関するグッズなども販売している。

Bhaktiの各種画面。メニュー(左)、寺院の様子のライブ配信メニュー(中)、神様のTシャツやグッズも販売(右)
[画像のクリックで拡大表示]
Bhaktiの各種画面。メニュー(左)、寺院の様子のライブ配信メニュー(中)、神様のTシャツやグッズも販売(右)

多彩なコンテンツや機能の中でも最も画期的なのは、利用者が希望する寺院へのお供え物をアプリ上で購入し、後日そのお供え物を自宅へ届けてくれる配達サービスだ。伝統的な慣習と現代のデリバリーが融合したような斬新な発想のサービスであり、インド全土の登録寺院から受けられるとあって、信者にとっては非常に便利である。

寺院のお供え物
寺院のお供え物

Bhaktiのダウンロード数はすでに10万を超えており、レビュー評価も4.3と好評だ。ただ、星座占いと暦チェック以外のコンテンツや機能は有料になるため、宗教をビジネスにしていると一部で不満の声も出ているのも事実である。それでも、巡礼として寺院へ赴く交通費や宿泊代、お供え物や寄付などの費用を考えると現実的に出費はかさむため、利用者にとってはアプリで本格的な信仰ができるのは大きな価値がある。また、利用者は多忙で時間に追われる生活を送っている人々がほとんどであるため、遠方や秘境にある寺院への数日を要する巡礼旅など不可能なのだ。

インド人は歳を重ねるに連れてますます信仰深くなる傾向があり、宗教や信仰は老後の生きがいにもなっている。「死ぬまでに一度はあの寺院へ行きたい。恵みを受けたい」と願う人は多いが、足腰が衰えた老人にとって遠方への参拝は不可能であり、家族も決して許してくれない。こうしたアプリによって信仰がより身近になり、スマートフォンを操う楽しみも感じられ、大切な趣味のような存在にもなっているという。

今回取り上げたアプリやサービスは、信仰深いインド人にとって宗教をより身近に感じさせてくれるものとして受け入れられ始めている。悠久の歴史や伝統と、最先端のITが共存するインドだからこそ誕生したサービスといえる。今後もテクノロジーはますます進化を続ける中で、伝統を受け継ぎながら人々の暮らしの姿をアップデートするインドの新しいサービスに注目したい。

この記事は、TNCが主宰する世界70ヵ国100地域に暮らす約600人の日本人女性ネットワーク「ライフスタイル・リサーチャー」からの情報をもとに制作しています。日本と海外の価値を結ぶさまざまな企画・マーケティング分野で活躍しています。