非接触型サービスとサステナビリティにおける今後の課題

感染防止対策として世界的に注目されている非接触型(コンタクトレス)サービスだが、イギリスで注目されたのがLoyds Pharmacyが提供するリモート処方箋による薬の郵送サービス「Echo」である。ロックダウン以降、緊急ではないと見なされた患者の診察が延期や中止になるケースが相次いだため、持病の処方箋の受け取りが必要な際などに特に重宝された。

Echoは、アプリをダウンロードし、NHSの個人情報を登録すると、リモート処方箋によって薬が自宅に無料配達される仕組み。病院に足を運ぶ必要がないため感染防止対策となり、受け取りの手間も省ける上、車や公共交通機関で移動せずに済むため、患者にも環境にも優しいサービスだといえる。規制緩和後も、長期的にソーシャルディスタンスを取りながらウイルスと共存していくことが必要と考えられているため、こうした非接触型サービスはますます需要が拡大しそうだ。

コロナ禍においても市民の環境に関する関心は高い
コロナ禍においても市民の環境に関する関心は高い

非接触という新たなスタイルが注目される中、サステナビリティに対してブレーキとなった事象もある。2019年は「SDGsの年」とも言われ、イギリスでもテイクアウト時のマイカップや、買い物時のエコバッグの持参が一般に浸透した。ところが2020年に入って新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれ、感染防止のために消費者持参アイテムの使用は禁止とする店が増加。使い捨て紙コップとプラスチックの蓋、レジ袋が再び主流になった。

しかし、こうした状況下でも、消費者がサステナブルな社会の推進に関心があることを示すデータもある。Deloitteの発表によると、新型コロナウイルス危機下のイギリスでも43%の消費者が環境価値を持つブランドを積極的に選択し、グローバルデータ収集・分析会社YouGovの調査では、67%がCO2ラベル表示のある製品を支持しているという。感染防止対策を行いながらもサステナブルな社会を目指すために、企業はこれから試行錯誤を続けていく必要がある。コンポスト可能なレジ袋やカップの導入、持参したマイカップを安全に素早く殺菌するための新テクノロジーの開発などが待たれるところだ。

イギリスでは、ロックダウンによってリモート化や非接触化が進み、効率性と安全性向上のための新しいネットワークやサービスが登場した。コロナ禍において一時的なプラスチックの削減率減退が生じているものの、未曾有の新型ウイルスによって消費者の間ではこれまで以上に健康と環境に対する関心が高まっている。こうした潮流から、企業の社会的/環境的な貢献は、ブランドイメージの向上、および企業に対するロイヤルティ構築にも結びつくだろう。今後もウイルスと共存していく社会の中で、消費者ニーズにあわせたビジネスアイデアを生み出し、サステナビリティを推進するためのテクノロジーを活用し、現在抱えている課題を解決していける企業こそ、消費者から信頼を集め、新たな商機を見出せるはずだ。

この記事は、TNCが主宰する世界70ヵ国100地域に暮らす約600人の日本人女性ネットワーク「ライフスタイル・リサーチャー」からの情報をもとに制作しています。日本と海外の価値を結ぶさまざまな企画・マーケティング分野で活躍しています。