小さな利便性が重なり、ある日SFの世界を超える

スマートロックが続々と発売された2015年は「スマートロック元年」と呼ばれる。あれから3年。当初は個人向けのハード売り切りモデルが主流だったが、賃貸住宅、シェアオフィス、民泊などと紐付いて、パブリック向けの月額モデルも普及してきた。先に述べたサービス付随型はさらなる進化版であり、スマートロックの第2世代モデルとも言えよう。

IoTの特性を活かし、家の中の暮らしを充実させる例も出てきた。デンマーク製のスマートロック「danalockV3」は米AppleのホームIoTプラットフォーム「Apple Home Kit」に対応。iPhone/iPad純正の「ホームアプリ」を操作しての開閉を始め、「Siri」を用いた音声による開閉と状態確認が可能だ。例えばSiriに向かって「鍵を閉めて」と呼びかけると「はい、玄関をロック状態にしました」と表示され、「鍵はどうなってる?」と問いかけると「玄関はロック解除状態になっています」と回答してくれる。まさに身近なiOSデバイスとスマートロックによる未来の共演である。

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Siriを介したdanalockV3の操作メニュー(danalock V3 Homekit版のページより)

日本で最初期にスマートロックを発売したQrioは、主力製品「Qrio Smart Lock」をアマゾンの音声AI「Amazon Alexa」に対応させ、声で自宅の鍵を施錠できるようにしている。具体的にはスマートスピーカーに向かって「アレクサ、自宅(スマートロックの名前)の鍵を締めて」と呼びかけるものだ。同社Lock事業部 事業部長 マーケティング部 部長の高橋 諒氏は音声AIとの連携効果を次のように語る。

QrioのLock事業部 事業部長 マーケティング部 部長の高橋 諒氏

「これからはやはり、いろんなデバイスと連携していくことがポイントになってくる。その意味でも手始めとしてスマートスピーカーとの連携は大きい。

Amazon Alexaとつながったことで、今度はカメラや家電とつながるようになる。例えばユーザーがSkill(Alexa用のアプリ)をインストールして“鍵が開いたらカメラで撮影する”といった設定も不可能ではなくなる。Skill使い放題の月額モデルも面白いかもしれない。そうすれば試しに使ってみたいと思わせるきっかけにもなる」

高橋氏は決済系サービスとの連携にも注目している。「どちらもユーザーに対する“許可”がポイント。例えば決済すると部屋を時間貸ししてもらえるサービスなどが思い浮かぶ。無人のカラオケボックスなど、需要はあるのではないか」。

さらにスマートロックにおける未来形については、こう話す。

「スマホを操作せずとも鍵が開くのが理想。最近は家電でもAIが実用化され始めてきたので、これからますます自動化、手間を省く行為は必然的な流れになってくる。究極の理想は『開け』と念じれば鍵が開くことだ。

小さな利便性が積み重なって、あるときに“これはいつか見たSFの世界では?”と意識する日が来るはず。今、戸建てのハウスメーカーが一生懸命スマートホームやIoT家電に力を入れているが、裏を返せば、家を建てたい人たちがスマートホームを新しい家の形として求めているのだろう」