ドームシアターの魅力は、その空間表現力の高さにあり、コンピュータが生み出すバーチャルな空間を圧倒的な迫力と実在感で描くことが可能。「これまでの平面映像とは全く違う空間を体感できる」(高幣氏)。

(写真1)可搬型ドームシステム「Domeworks」
(写真2)東京ドームの天井に映し出したプロジェクション

空間を表現する広視野の映像フォーマットは、一時的なブームではなく、映像規格の拡張として自然な流れと言ってよさそうだ。DVDやBDで映画を楽しめるようになった現在でも、映画館の需要がしっかり続いていることを踏まえると、新しい映像表現を生み出すシアター型の映像施設や映像イベントと家庭用のVRは「共存しうるメディア」(高幣氏)と考えていいだろう。

映画の中を自由に動きまわって楽む

現実を超える設定や実際にはありえない世界観を、手軽に疑似体験できるのもVRならでは。自動車や飛行機、電車などをシミュレーター的に楽しむだけでなく、ファンタジックな世界に足を踏み入れ、自分目線で剣や魔法を駆使して戦う、といったことが可能になる。

こうしたVRをベースにした未来のエンターテインメントの広がりを感じさせるのが、2016年12月に発売予定のPS VR対応コンテンツ「ローラーコースタードリームズ」である。自分でジェットコースターのコースをデザインしたり、さまざまなアトラクションを体験したりできる。開発したのはゲームクリエーターの服部博文氏。「同じゲームでも、VRを活用すれば面白さのレベルは格段に上がる」と服部氏は話す。

(写真3)PS VRで遊園地のさまざまなアトラクションを体感できる「ローラーコースタードリームズ」

もちろん、臨場感を増すためには「映像のリアルさ」が重要になる。カギを握るのはVRの「画質」だ。現状では、例えばPS VRなどは両目で解像度1920×1080。臨場感のためには、完璧な画質とは言いがたい。それでも、画質が次第に向上していく可能性は高い。例えば8Kレベルにまで向上すれば、「本物と区別がつかないほどの臨場感を生み出せるだろう」(服部氏)。

このようなVRの進化が続けば、いずれは「作品の世界を自由に動き回って楽しめる映画も登場するのではないか」と服部氏は予想する。単純に見るだけでなく、今まで以上に体感できる映像体験が、エンターテインメントの新しい世界を作るのかもしれない。

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