交通インフラをスマートに

未来の道路では、信号機や街路灯が車を誘導する。信号機のLEDを使えば、可視光通信による「歩行者への位置情報提供」「自動車への情報提供」「交差点間通信」などが実現可能になる。例えば信号機が発信する位置情報を歩行者がスマートフォンで受信すれば、自分が向いている方向がわかるため、GPSよりもわかりやすいナビゲーション機能が提供可能になる。自動車への情報提供としては、赤信号で停止している車に向かってあと何秒で青信号に変わるかを伝えることで、アイドリングを停止させるエコドライブ支援が可能になる。

自動車同士が会話しながらお互いの安全を支援する車々間通信でも、電波と比べて指向性が強い光の方が、同じ車線上での通信には有利だ。また、対向車からの情報もイメージセンサーで受信できれば、事故防止に役立つであろう(図2)。

(図2)前方から来る車のドライバーの意志をAR(仮想現実感)で表示するシステムのイメージ
交差点などでは、前方から向かってくる車がそれぞれどのように進もうとしているかが分かれば、直進車と右折車との衝突事故回避などに役立つ。(可視光通信ラボの資料より抜粋)

1台のカメラで複数の情報を収集して活用

最近の工場ではIoTによって、製造装置の稼働情報をリアルタイムに監視するシステムが導入されている。ただし、工場内はさまざまな機器から発生される電磁ノイズの影響が大きく、電波によるワイヤレス通信の利用が難しいため、各装置からの稼働情報収集には有線LANの敷設が必要となる。

カシオ計算機はこういった設備投資の負担が抑えられる、光でのワイヤレス通信で製造装置などの稼働情報を取得するシステムを開発した。このシステムでは、赤、緑、青の3色で発光するLED表示灯の色の変化によって、一つの表示灯から約106万通りの情報を発信することが可能だ(図3)。大きな特徴は、カメラ1台で同時に最大100台の表示灯からの信号をリアルタイムに受信できることである。

(図3)カシオ計算機の3色LEDによる可視光通信
(カシオ計算機のホームページより引用)

橋梁やトンネルなどの構造物の計測、老朽化対策にも、可視光通信は応用されていく。こうした構造物は、建設後も気温や湿度の変化、降雨による地盤の変化などによって影響を受ける。このため、高精度かつ短時間に計測して分析する必要がある。現在、そういった計測にはGPSを使った方法などいろいろとあるが、LEDの光を使えば夜間を含めて24時間の自動計測が実現可能になる。

計測では、固有のIDを埋め込んだ複数のLED光源を測量ポイントに設置する(図4)。これらのLEDからの光を1台のデジタルカメラで撮影し続けることで、測量ポイントの位置のずれを定期的に観測する。これによって、1日の気温の変化が構造物に与える影響などを調査分析する。継続的な計測も可能なので、地震時の揺れによって生じた変形なども後から確認できる。

(図4)LEDを使った構造物の夜間計測の例
(可視光通信ラボの資料より抜粋)

後編では、専用のフォトダイオードによって実現される可視光通信のさまざまなサービスなどについて紹介する。


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