レジを通らず持って帰るだけで商品が購入できるAmazon Goのショッピングスタイルは、世界に大きな衝撃を与えた。ただ、これからやってくる、未来の買い物体験には、見るだけで商品を購入できるなど、もっと他の要素も含まれることになりそう。キモは「バーチャル」の技術だ。

インターネット技術の普及は、ネットショッピングという新しいショッピングスタイルを作り出した。今、人工知能(AI)や拡張現実(AR)/バーチャルリアリティ(VR)などの最新技術によって、そのショッピングスタイルがさらに進化しようとしている。

ネットショッピングには、いつでもどこからでも買い物できるというメリットがある半面、リアル店舗でのショッピングに比べて事前に実際の商品の大きさや形を実感できないというデメリットがある。逆に、リアル店舗でのショッピングでは手に取って商品を確認して購入できるが、レジ精算に時間がかかりストレスがたまっていく。いつも買っている定番の商品ならば、もっと簡単に精算できないかと思うだろう。

そんな、ネットショッピングの悩みとリアル店舗でのショッピングの悩みは、最新技術で解決できそうだ。それによって消費者は、今まで経験したことがない新たな買い物体験を味わえる。一方で小売業者側は、最新技術の導入で消費者に魅力的な店舗づくり・体験づくりに取り組める。それらは同時に、コスト圧縮など店舗運営の効率化などにもつながる。

AR/VRで手軽に購入前のお試しが可能に

家具などの大型商品は、サイズ表記があっても実際の大きさをイメージしづらく、自分の部屋に置いたときの雰囲気がどうかといった感覚もつかみにくい。ネットショッピングで購入した場合でも、店舗で購入した場合でも、商品が届いてから後悔することは珍しくないだろう。こうした消費者の悩みに応えようとIKEAが開発したのが「IKEA PLACE」である。ARで部屋の中に仮想的に家具を配置できるアプリだ(写真1)。スマートフォン越しに部屋を見て、そこに約2000種類の商品の3Dモデルを重ねて表示できる。カメラの向きを変えるなどして、さまざまな位置に試し置きできるわけだ。

IKEAはほかにも、消費者が既に利用中の家具とイメージが似た商品を、IKEA商品の中から選び出して推薦する機能も提供しようとしている。スマートフォンのカメラを使って現実世界の家具をスキャンすると、アプリ側で画像データを解析し、その特徴データを条件としてIKEAのカタログを検索することで、消費者の部屋や好みに合った商品を推薦しようというわけだ。これらの画像認識・解析には、ディープラーニングを活用している。

(写真1)IKEAの家具をARで配置する「PLACE」(IKEAのWebサイトより引用)